Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高薮 縁 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (10197212)
向川 均 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20261349)
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90253393)
谷本 陽一 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (00291568)
本田 明治 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (20371742)
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Research Abstract |
1.JRA25などの再解析データに基づき,日本の夏季天候に大きな影響を与える循環変動の1つであるPJパターンの立体構造を明らかにし,西にアジアモンスーン,東に亜熱帯高気圧という夏季特有の基本場で維持され易い,積雲対流活動の変動を伴う力学モードであるという斬新な作業仮説を得た.更に,繰越経費をもって,4つの大気再解析データセットを用いた比較解析から作業仮説の検証行ない論文発表した. 2.気象庁1ケ月アンサンブル予報システムの初期摂動作成法を熱帯循環に適合するよう改良し,東西波数1の傾圧成分が卓越するdry Kelvin波と良く似た構造で,正の成長率を持つ初期摂動の作成に成功した.また,熱帯で卓越する季節内振動(MJO)に伴う降雨の諸特性,大気の成層構造と積雲対流活動との関係の解析を進め,赤道上の西風バーストの長期間統計から積雲対流とエルニーニョとの相互作用を明らかにした.一方,他の再解析と比して,JRA-25はインド洋上を北進する降水帯の季節内振動をよく表すこと,及び直下の海面水温偏差との有意な相関とが確認された.また,JRA-25の解析から冬季ハドレー循環の強化傾向などを見出した. 3.北半球冬季に近年生じた4例の成層圏突然昇温の予測可能性について,それらの生起パターンから検討を行い,東西波数2や3のプラネタリー波が関わる場合は予測が難しいことを示した.また,2006年1月に起きた大規模突然昇温について,増幅したプラネタリー波の対流圏の波源を北大西洋域に特定した上,昇温の予測可能性を気象庁のアンサンブル予報データに基づき吟味した. 4.中緯度大気循環変動における海氷域変動の果たす役割についてオホーツク海の影響を中心に調査を進めた.オホーツク域の海氷面積の経年変動が,カラ・バレンツ域のそれと同位相,べーリング域やラブラドル域の変動とは逆位相であり,ラグを持って,大気のNAOとも相関を有することを発見した.
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