2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18204048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 聡 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (10236812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 渡 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助手 (90372309)
山崎 和仁 神戸大学, 理学部, 助手 (20335417)
豊福 高志 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (30371719)
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Keywords | 適応放散 / 多様性 / 種分化 / 海洋島 / 進化 |
Research Abstract |
好適な生息環境、種数が少なく空白のニッチが多い、新しい環境の出現、といった要因が満たされると急速な適応放散が起きることが知られているが、その生物学的なプロセスはよくわかっていない。本研究では、上記の環境条件を満たす現生の環境である海洋島、および新しい環境に進出した外来種に注目することで、今まさに繰り広げられつつある適応放散の初期過程を調べることを目指した。 小笠原諸島の陸生貝類カタマイマイ属と、種間の生態的、遺伝的性質の分化の様子、および種内での生息場所、形態的な分化の様相を調査した。その結果、きわめて急速に種間で生活場所の分化とそれにともなう繁殖隔離が進化していることが観察された。また侵入した捕食者の効果により、ニッチがシフトし、かつ狭められたことが観察された。 大東諸島のクビキレガイ類、ヘソカドガイ類を用いて、島内での集団の生態的、遺伝的分化の様相を解析した。その結果、ヘソカドガイは約100万前に大陸から由来し、その後の島内の進化により、遺伝的分化が進んでいることがわかった。また集団のhabitatの違いにより、集団の遺伝的分化が促進されていることがわかった。 日本から北米に侵入したホソウミニナとその寄生虫の侵入ルートを解明し、侵入した先での生じた集団の遺伝的変化を明らかにした。ホソウミニナ北米集団は恐らく1度の侵入に由来すると考えられるが、寄生虫は恒常的にアジアから北米に侵入していると考えられた。 以上の成果から、新しい環境への進出の過程で、大きな遺伝的、表現型や生態的性質の変化が生じうること、また急速な種分化が起こりうることが示された。このことは、適応放散のプロセスには、新しい環境への進出や、環境変化による絶滅、新しい環境の生成が大きく関わっている可能性を示唆している
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Research Products
(6 results)