2007 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素の安定同位体分別と放射起源同位体変動による地球化学サイクルの研究
Project/Area Number |
18204053
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 剛 Nagoya University, 環境学研究科, 教授 (00236605)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅原 良浩 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10281065)
谷水 雅治 名古屋大学, 海洋科学技術センター, 研究員 (20373459)
足立 守 博物館, 教授 (10113094)
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
|
Keywords | 希土類元素 / ユーロピウム / 同位体質量分別 / 地球化学サイクル / ネオジム / 放射壊変系 / 炭酸塩 / 長石 |
Research Abstract |
本年度は、自然界におけるEu安定同位体変動とそのメカニズムの解明を中心に置いた。多重検出器誘導結合プラズマ質量分析計(MC-ICPMS)を用いたEu同位体分析法を開発し、火成岩、堆積岩試料の153Eu/151Eu比を測定した。その結果、流紋岩、花崗岩の一部は、玄武岩をはじめ他のterrestrialな岩石に比べ最大約で10εと大きく軽い同位体に富むことが示された。さらにその153Eu/151Eu比の変化は、希土類元素存在度パターンにおけるユーロピウムの負の異常と相関をもつ事が示された。また、Nd同位体分析では、これらの岩石で大きな同位体分別は見られなかった。この理由として、Ndは常に+3価で挙動するが、Euはマグマ中において+3価のほか一部が+2価をとる。ここでEuが+2価に還元される際に重い同位体が選択的に+2価に還元され、それが優先的に鉱物結晶内や流体相に取り込まれる。よってEuは同位体分別が顕著に現れるとみられる。 一方、石灰岩およびドロマイトでは2ε以内の狭い範囲で試薬より重い同位体に富むものがみられた。これは海水から希土類元素を取り込む際に動的同位体効果により重い同位体を選択的に濃集した可能性が考えられる。またEu同位体比とNd同位体比を比較した結果、海水起源の試料と非海水起源の炭酸塩試料の間で異なる傾向がみられ、また非海水起源の一部試料ではEuとNdで分別の傾向が異なるものが見られた。これはEuとNdの安定同位体比を比較することで、試料の起源や経験した化学反応場を探るトレーサーになり得ることを意味する。
|
Research Products
(4 results)