2006 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸の光化学初期過程におけるコンフォマー特異性の発見と解明
Project/Area Number |
18205003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江幡 孝之 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70142924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 末廣 広島大学, 大学院・理学研究科, 特任教授 (20087505)
井口 佳哉 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30311187)
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Keywords | アミノ酸 / コンフォメーション / 超音速ジェット / 二重共鳴分光 / 赤外分光 / 水和クラスター |
Research Abstract |
超音速ジェットレーザー分光法を用いて、20種類のα-アミノ酸のうち、L-phenylalanine (L-Phe)とL-tyrosine (L-Tyr)のコンフォメーションの決定を行った。これらアミノ酸を超音速ジェット中に生成するには、加熱気化してノズルから真空中に断熱膨張させる必要があるが、アミノ酸を高温にして気化する場合、熱分解に注意しなくてはならない。そこで、ポリイミドを用い熱分解しにくい特殊な高温ノズルを新規に製作した。 新しく製作した高温ノズルを用いてジェット冷却したL-PheとL-Tyrのレーザー誘起蛍光スペクトルを観測することに成功した。さらに赤外-紫外二重共鳴スペクトルの観測と量子化学計算の比較から、ジェット中にL-Pheの6個のコンフォマーを帰属した。同様に、L-Tyrでは8個のコンフォマーを帰属した。 励起状態の寿命をコンフォマー別に観測した結果、L-Pheの電子励起状態の寿命はコンフォマーによって異なり、28ナノ秒から90ナノ秒の寿命を持つことが分かった。特に、分子内水素結合を持つ安定コンフォマーXが最も寿命が短く、励起状態寿命にコンフォマー特異性があることが明らかになった。L-Tyrの電子励起状態の寿命は3.5ナノ秒から8ナノ秒とL-Pheに比べかなり短くなっているが、著しいコンフォマー依存性は確認できなかった。 さらに、L-Pheの水和構造の研究を行った。その結果、分子内水素結合を持つコンフォマーは水和しにくく、水分子は分子内水素結合を持たないオープンコンフォマーに水和しやすい、つまり水和にコンフォマー特異性があることを見いだした。
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Research Products
(6 results)