2006 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度コヒーレント光によるコンフォメーションダイナミックスの観測と制御
Project/Area Number |
18205005
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大島 康裕 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (60213708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 宗良 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (20373350)
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Keywords | 原子・分子物理 / 物理化学 / 分子分光学 / 強レーザー場 / フェムト秒化学 |
Research Abstract |
本研究計画は、flexibleに構造を変化しうる分子系について、そのコンフォメーションダイナミックスを量子力学的現象として観測し、さらにその制御を目指すものである。具体的には、以下のような段階的進展を予定している。1)コンフォメーション変化をもたらす運動自由度について振動準位構造を幅広いエネルギー領域で詳細に特定する、2)実験情報に基づいてコンフォメーション変化に対応するポテンシャル曲面を決定し、運動状態の量子力学記述を確立する、3)高励起量子準位へ内部状態分布を高い効率で移動する方法を開拓し、コンフォメーション制御を実現する。 上記1)の実現には、非線形高分解能コヒーレント分光の適用を計画している。本年度は、そのために不可欠なフーリエ限界ナノ秒パルス光源の開発を進めた。1MHz程度の分解能を持つ連続発振リングチタンサファイアレーザーの出力をパルス的に増幅するシステムを導入した。このパルス光を、非線形結晶を用いて3倍波(〜260nm)に変換し、共鳴2光子イオン化によってベンゼンの高分解能電子スペクトルの測定を行った。この結果、紫外領域においても400MHz以下の周波数分解能が得られ、十分に高いコヒーレンスを有することが確認された。さらに、Neや水がベンゼンと結合したクラスターのスペクトル測定にも成功した。現在、スペクトルの解析を進めている。 上記3)に対応しては、「超高速非断熱過程による分布操作」の開発を行った。これは、非共鳴な高強度フェムト秒パルスとの相互作用によって「瞬間的に」分子に撃力を加え、分子の運動を制御するものである。本年度は、一酸化窒素、ベンゼン、スチレンなど、様々な分子について、その回転を非断熱的に励起することに成功した。また、2つのパルスを利用した実験によって状態分布移動過程を大きく制御しうることを明らかにし、さらに、理論的考察も行った。
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Research Products
(4 results)