2009 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度コヒーレント光によるコンフォメーションダイナミックスの観測と制御
Project/Area Number |
18205005
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大島 康裕 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 教授 (60213708)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 宗良 光分子研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (20373350)
|
Keywords | 原子・分子物理 / 物理化学 / 分子分光学 / 強レーザー場 / フェムト秒化学 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、flexibleに構造を変化しうる分子系についてコンフォメーションダイナミックスを量子力学的現象として観測し、その制御を目指すものである。本年度の成果は下記の通りである。 周波数領域の研究として、ベンゼンを含む分子クラスターを重点的に取り上げた。その中でも最も結合の弱いベンゼン-(He)_n(n=1.2)について、2色のレーザーを利用した共鳴2光子イオン化によって電子スペクトルを測定した。単一縦モードナノ秒パルス光源を利用した高分解能の計測によって各種分光定数を高精度で決定し、詳細なクラスター構造を得た。特に、n=1のクラスターについて、分子間振動が励起した状態に対応する振電バンドを始めて観測することができ、ベンゼン分子面の上下をHe原子が行き来するトンネル運動に起因する分裂を見出した。 実時間領域での研究では、超音速ジェット中に生成しNO-Arクラスターを高強度の非共鳴フェムト秒パルスによって励起し、その後、ナノ秒色素レーザーを利用して共鳴2光子イオン化スペクトルを測定した。コールドバンド強度の減少と分子間振動のホットバンド強度の増大が観測され、インパルシブラマン過程によって振動状態分布移動を実現したことを確認した。さらに、2つのフェムト秒パルスで励起を行い、振動基底状態および分子間振動励起状態の分布が、パルス間の遅延時間に対して周期的に変動することを見出した。この観測結果は、分子間振動に関する量子波束の生成と検出を実現したものである。NO-Arは、T字型の最安定構造のほかに直線型の準安定構造を有することが知られており、大振幅な変角モードのコヒーレント励起は構造異性化の制御に直結すると期待される。
|
Research Products
(16 results)