2006 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄資源の有効活用技術開発を目的とする含硫黄高分子の合成と特性評価
Project/Area Number |
18205014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 玄一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (20324246)
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Keywords | 硫黄 / 硫黄資源 / 有効利用技術 / 含硫黄高分子 / 特性解析 |
Research Abstract |
初年度に当たる今年度は、硫黄資源の有効利用技術の開発を目的として、新規硫黄含有物質(モノマー、ポリマー)の合成を主として検討した。一つは硫黄含有の新規モノマーの開発である。硫黄含有ポリマー合成のために、高耐熱性、高溶解性、高屈折率、低複屈折を実現する骨格である9,9-ジアリールフルオレン構造を持つ新規ジチオールモノマーを合成した。フルオレンの2,3-位並びに6,7-位にベンゼン環を縮環させ、9位にふたつの4-N,N-ジメチルアミノチオカルバモイルフェニル基または4-メルカプトフェニル基をもつジチオール型のモノマーは、すでに合成法が確立されている方法で合成した2,3;6,7-ジベンゾフルオレノンをフェノールと反応させることで、カルボニル炭素上に二つのフェノール構造を導入した。常法によりフェノール系水酸基をチオカルバモイル基に変換した。このモノマーといくつかのジハロアレーンとの重縮合反応により、対応するポリチオエーテルを合成した。いずれも収率は定量的で、分子量数万のわずかに黄色のポリマーが得られた。これらのポリマーは、250〜320℃のガラス転位温度、また510〜560℃の10%重量減少温度を示し、耐熱性に優れたポリマーであることがわかった。また、各種有機溶媒に対しては高い溶解性を示し、ナフタレン骨格を有するにも拘わらず、カルド構造として知られる9,9-ジアリールフルオレンと同様の溶解特性を有することがわかった。これに先立ち実施した9,9-ビス(4-メルカプトフェニル)フルオレン並びに9,9-ビス(4-N.N-ジメチルアミノチオカルバモイルフェニル)フルオレンを用いるポリチオエーテルケトン類の合成とその特性解析でも、高い耐熱性と溶解性、屈折率などが明らかとなった。
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