2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱を基軸としたハイパーゲルのナノスコピック科学
Project/Area Number |
18205025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴山 充弘 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (00175390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 和敏 東京大学, (財)川村理化学研究所, 所長 (10373391)
遠藤 仁 東京大学, 物性研究所, 助教 (40447313)
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Keywords | ハイパーゲル / ナノコンポジットゲル / 中性子散乱 / テトラペグゲル / コントラスト変調法 / 中性子スピンエコー / 環動ゲル / 天然ゴム |
Research Abstract |
近年、非常に注目されている高強度・高弾性・高延伸性・高膨潤性ゲル「ハイパーゲル」を始め、天然ゴム、低分子ゲル化剤などに見られる優れた物性の発現メカニズムを分子次元で解明するため、小角中性子散乱による精密構造解析を展開した。それらは以下の7つの研究に大別される。(1)コントラスト変調中性子小角散乱により、延伸下にあるナノコンポジットゲルの構造解析を行い、クレイ周囲に高分子の吸着層が存在すること、延伸に伴いクレイが延伸方向に並んでいくこと、などを見いだし、これらがナノコンポジットゲルの強靱な力学物性をもたらしていることを発見した。(2)可動架橋点をもつ環動ゲルの構造およびダイナミクスをコントラスト変調小角中性子散乱、コントラスト変調中性子スピンエコ一法により詳細に研究し、架橋点のスライド運動を初めて確認した。(3)シリカ充填高分子ゲルの構造をシリカ粒子サイズの関数で評価し、シリ力凝集構造が離散系からパーコレーション系へと変化することを発見した。(4)低分子ゲル化剤の構造およびレオロジー研究を行い、その優れた自己構造回復能が塩素イオンを介在した水素結合に起因することを見いだした。(5)4つの腕を持つテトラペグゲルの力学物性および構造を、分子量、濃度の関数として検討し、その優れた圧縮特性がダイヤモンド様の構造に起因することを発見した。(6)蛋白質や多糖類ゲルのゲル化現象を小角中性子散乱および動的光散乱により解析した。(7)天然ゴムに対し重水素化溶媒を添加することで、不均一性や網目構造を顕在化させる膨潤可視化法を適用し、架橋剤や添加剤の役割について詳細に研究した。以上、種々の高性能高分子ゲルに対し、コントラストマッチング法、コントラスト変調法、膨潤可視化法などを駆使した小角中性子散乱、スピンエコー法によるナノスコピック科学を展開した。
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Research Products
(56 results)