2006 Fiscal Year Annual Research Report
超低ドーズ観察を可能にするバイオ電子顕微鏡法の開発
Project/Area Number |
18206007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 義造 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30236179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 吉秀 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (70221215)
永富 隆清 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90314369)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 収差補正 / 位相像再構成 / 3次元フーリエフィルタリング法 / 電子線照射損傷 / 低ドーズ観察 / DNA |
Research Abstract |
本研究の目的は、振興調整費プロジェクトで開発した超コヒーレント・バイオ位相差電子顕微鏡の照明系、試料系、結像系に改良を加えて新しい低ドーズ低損傷結像システムを開発し、無染色単一バイオ分子の分子レベル構造観察を実現することである。 本年度は、生体分子の高分解能高コントラスト観察を実現するために、照明系に動的な照射角変調機能を有するホロコーン照明システムを開発した。色収差の影響を軽減することで、これまで以上の高い分解能で収差補正した位相・振幅成分の分離再生することに成功し、現在論文を執筆しているところである。更に、このシステムと対物絞りの効果を併用する高コントラスト結像法の検討を開始した。 生体試料が電子線照射で損傷を受ける程度を軽減するために低振動低温試料ホルダーを開発した。このホルダーでは、試料冷却のための液体窒素タンクと試料ホルダー部を分離し、液体窒素のバブリングによる振動が試料に伝わりにくい構造をしている。冷却達成温度は約マイナス100度であったが、汎用性の高いサイドエントリー型冷却ホルダーであるにもかかわらず、これまで保証されていなかった0.235nmの結晶格子縞を低温時において観察できる高分解能化を達成することができた。また、観察に利用する総電子線電流量を低下させ、かつ電子線を間欠的に照射する照明方法を採用することで、冷却による低損傷効果に加えて、更に約2倍の低損傷化が実現できることを実証した。 また、次年度に開発する静電型位相板が挿入可能な特殊対物絞りホルダーの設計を行った。この絞りには、電子ビーム誘起により発生する汚れを防止するための絞り板加熱機構と、静電型位相板に任意の電圧印可を加えることが可能な2対の電流・電圧導入端子が組み込まれており、低周波から高周波数成分に至るまで像劣化や歪みのない理想的な高コントラスト観察が実現できる予定である。
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Research Products
(6 results)