2006 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーによる表面ナノ構造生成・制御手法の確立
Project/Area Number |
18206010
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 健創 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (50293957)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
宮地 悟代 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (30378905)
|
Keywords | フェムト秒レーザー / ナノテクノロジー / ナノ構造生成 / 選択的結合構造転移 / 局所場 / アブレーション / メゾスコピック域 |
Research Abstract |
本研究の目的は,伝搬光による初めてのナノ物質制御技術の基盤を確立することである。そのため,研究代表者らが発見した硬質薄膜表面におけるナノ構造生成が局所的な電磁相互作用に起因することを検証すると共に,同ナノ構造生成手法を異なる物性を持つ物質に適用できるように高度化する。 当該年度は以下の研究を行った。 1)薄膜表面上での相互作用ダイナミクスの詳細を解明するため,レーザーの高機能化技術の開発を行い,パルス出力・波形,及びスペクトル特性の精密制御を可能にした。 2)同出力を用いて,Si基板上のDLC薄膜についてポンプ・プローブ法を用いた反射率測定実験を行い,DLCの選択的結合転移とナノ構造生成過程が逐次的に生じることを突き止めると共に,ナノメートル域での局所場の発生を基礎にしたモデル構築を進めた。 3)この局所場の発生に伴うナノサイズのアブレーションを観測するため,Si基板に電子ビーム露光とリフトオフ・プロセスによって製作された微細凹凸パターンを持つ標的を開発した。 4)この標的を用いて実験を行った結果,パターンの曲率の最も大きなナノメートルレベルの標的表面で微細なアブレーションが始まること,照射レーザーの偏光方向と素直方向にアブレーション痕が成長すること,表面パターンの突起部では平坦部に比べて実効的な電界が大きくなっていると予測できること,等を観測した。以上は,提案しているナノ構造生成モデルを完全に支持する結果であり,定量的なモデルの構築を進めている。 5)上記の結果を基に半導体や金属のような自由電子密度の大きな物質へ同手法を適用するための課題を検討した。その結果,表面励起のための相互作用時間を可能な限り短縮することが効果的なアプローチであるとの結論を得たため,フェムト秒レーザーの短パルス化技術の開発に着手した。
|