2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子ナノ構造を用いた高出力・広周波数域テラヘルツ電子デバイスの研究
Project/Area Number |
18206040
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅田 雅洋 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (30167887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正裕 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (00251637)
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Keywords | テラヘルツデバイス / 共鳴トンネルダイオード / 集積スロットアンテナ / InGaAs / AlAs / InP / 高調波テラヘルツ発振 / 電圧制御発振 / アレイ構造 / オフセット給電アンテナ |
Research Abstract |
本研究は、未開拓周波数であるテラヘルツ周波数帯に対して、高出力・広周波数域の発振・増幅デバイスの実現を目標として、共鳴トンネル構造を用いた発振素子の作製と特性評価を行い、本年度は以下の成果を得た。 InP基板上に微小面積のGaInAs/AlAs二重障壁共鳴トンネルダイオードと微細アンテナを集積した発振素子構造によってすでに1THzを越える高調波発振を得ているが、この素子に対してバイアス電圧によって発振周波数が変化する特性を見出した。この特性はテラヘルツ発振素子として応用上きわめて有用である。理論解析により、この特性は電子の共鳴トンネル通過時間のバイアスによる変化が原因であることを示し、周波数変化を大きくする構造の指針を示した。また、この発振は1.02THzで、室温の単体電子デバイスとしては最高であり、初めてテラヘルツ帯に踏み込んだものであるが、高調波発振であるため、基本波によるテラヘルツ発振の可能性を調べた。基本波発振については、現在この構造で0.6THzまで得られており、高周波化は共振器およびアンテナの微細化により可能である。しかしながら、微細化に伴う出力の減少が実用上問題となる。これに対して、高周波化・高出力化が同時に可能な構造として、スタブ形アンテナ構造、共鳴トンネル層構造中のスペーサー層厚最適化、オフセット給電スロットアンテナ構造など、種々の構造を提案した。これらのうち、スペーサー層厚最適化とオフセット給電に対しては、実証実験として発振周波数300GHzの素子が400GHzまで上昇することを示した。さらにこれらの結果から、構造最適化により2THzを越える基本波発振素子が可能であることが理論的に予測された。
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