2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子ナノ構造を用いた高出力・広周波数域テラヘルツ電子デバイスの研究
Project/Area Number |
18206040
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅田 雅洋 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30167887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正裕 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (00251637)
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Keywords | テラヘルツデバイス / 共鳴トンネルダイオード / 集積スロットアンテナ / InGaAs / AlAs / InP / 高調波テラヘルツ発振 / 電圧制御発振 / アレイ構造 / オフセット給電アンテナ |
Research Abstract |
本研究は、未開拓周波数であるテラヘルツ周波数帯に対して、高出力・広周波数域の発振・増幅デバイスの実現を目標として、共鳴トンネル構造を用いた発振素子の作製と特性評価を行い、本年度は以下の成果を得た。 InP基板上に微小面積のGal nAs/AIAs二重障壁共嶋トンネルダイオード(RTD)と微細アンテナを集積した発振素子を作製し、この素子の重要な発振特性のひとつである発振線幅の測定を行った。測定は、受信素子としてNi-InPのショットキーバリアダイオードと広帯域ボウタイアンテナを集積した構造を作製し、発振周波数が約373GHzの発振素子に対して約190GHzの局部発信器を用いた高調波ヘテロダインにより行った。この測定により、RTD発振素子の精密な発振周波数と発振線幅の測定が可能になった。発振線幅に対しては、バイアス電源の雑音により変動が大きいが、それらを含めても大きくとも3MHz以下であるという結果が得られるとともに、理論的にはこれより十分狭い可能性があること、および、帰還回路による位相同期を行うことにより狭線化が可能であることが明らかになった。 RTD発振素子の高出力化に関して、基板平面上の金属/絶縁体多層構造で形成した伝送回路で素子間を結合したアレイ素子を作製し、素子間のコヒーレントな出力合成による高出力化を行った。この方法により、1素子あたり2-3μWの素子においても、電力合成により3素子で13μW、6素子で45μWの出力が得られた。また、平面結合素子のコヒーレント電力合成に関する理論解析を行い、素子間の結合の強さと合成出力の関係、および、アレイ発振モードのうちの基本モードのみが安定に発振し、かつ、素子間の注入同期が起こるために必要な素子間結合の条件を明らかにした。
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