2006 Fiscal Year Annual Research Report
古墳壁画の保存に関する研究 -結露・乾燥およびカビの影響とその対策-
Project/Area Number |
18206062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鉾井 修一 京都大学, 工学研究科, 教授 (80111938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 武志 (独)東京文化財研究所, 保存科学部, 部長 (80212877)
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (60283868)
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Keywords | 高松塚古墳 / カビ / 保存対策 / 温湿度環境 / 石室 / 熱水分移動 / 結露 |
Research Abstract |
平成13年の12月に、高松塚古墳石室内の漆喰壁表面にカビの発生が見られ、文化庁を中心にカビの発生原因と保存対策の策定に関する調査が継続されている。国宝である絵画の劣化は著しいが、古墳や洞窟内部は湿度が非常に高く、微妙な環境の変化によりカビ等が発生する危険に晒されている。現在はカビの繁殖を抑制するために周囲地盤を冷却し低温に保つための方策がとられているが、石室内の湿度はほぼ飽和に近く、石室内外の温湿度環境の変化によりカビが繁殖する危険性は非常に高い。 本研究においては、石室内部の温湿度環境を周辺地盤中の熱・水分状況とあわせて把握することによりその時間的な変化を予測し、石室壁面における結露を抑制することにより石室壁画の劣化を最大限抑えること、現状からより安全な環境条件への移行のプロセスを設定することを目的の一つとする。更に、今後発見されるであろう同様の古墳や洞窟遺跡において、このような問題を生じさせないために、発掘時点から始まる適切な保存対策手法を確立することをもう一つの目的とする。 本年度は、以下の項目に関する検討を行った。1.石室内外の環境条件とカビの状態の観測 2.石室内外の温湿度、調査に伴う人の入出、カビの成長過程などの履歴調査と整理 3.土壌・石室壁体における熱水分移動解析 4.石室周辺の流体解析とそれによる熱・水分伝達の予測 5.外界気象条件の変動を考慮した石室内外温湿度環境の解析 6.漆喰などの乾燥収縮による劣化予測 7.カビの成長の観察と対応策の検討 8.空調制御システムと石室内温湿度変化履歴との関係
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Research Products
(4 results)