2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18206065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 毅 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20168355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 伸之 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40092374)
鈴木 博之 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (00011221)
北村 優季 青山学院大学, 文学部, 教授 (20177869)
高村 雅彦 法政大学, 工学部, 助教授 (80343614)
松本 裕 大阪産業大学, 工学部, 講師 (20268246)
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Keywords | 都市イデア / バスティード / グリッド / 広場 / フエ / 都城 |
Research Abstract |
初年度である2006年度はフランスにおける都市イデアの生成と変容を探る目的で、南西フランスー帯に数多く分布するバスティードに研究対象を絞り、文献研究および実地調査を行った。調査対象になった都市は、精細な実測調査を行った都市と都市の概要をさぐるために踏査した都市の2種類に分かれる。前者はソーヴテール・ド・ルエルグ、モンフランカン、モンパジエの3都市で、都市回その他の歴史的資料および住宅実測調査を行った。また後者はサンクラール、ジモン、ボーモン・ド・ロマーニュ、ミランド、ミルポワ、コローニュほか10都市に及んだ。これらの調査結果は現在整理・分折中であるが、フランス中世におけるグリッド都市がいかなる背景で成立したか、それが近世・近代を経てどのような変容過程を経たかが明らかになる予定である。中世におけるグリッドは古代のそれとは異なり、中央広場を割り出すためのグリッドであり、整形街区を短冊状に分割して宅地分譲することに重点がおかれた。そして広場と教会は離れた位置にあって、広場はもっぱら流通・交易のマーケット空間として機能しており、世俗的なイデアが都市建設の主要な動機であった。 来年度のアジア調査にむけて、2007年3月に中国の北京、上海、ヴェトナムのハノイ、フエの実踏を行った。このなかで、フエは19世紀初頭に建設された都城であり、近代ヨーロッパの築城技術を取り入れながらも、古典的な都城を生み出した点が注目される。来年度はこのフエにターゲットを絞り、フィールド調査を予定しており、現在研究会を立ち上げ、関連論文の読み合わせなど準備段階に入っている。 なお上記の成果の一部はすでに都市史研究会編『年報都市史研究』、経済調査会『積算資料』などの雑誌媒体に発表を開始している。バスティードについては出版物として刊行することを想定して、現在執筆中であり、近々公表できる予定である。
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