2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピネル型酸化物結晶における電子励起を伴う照射欠陥形成過程の原子分解能解析
Project/Area Number |
18206068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学研究院, 教授 (60150520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 和弘 九州大学, 工学研究院, 助教授 (80253491)
椎山 謙一 九州大学, 工学研究院, 助手 (30243900)
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究院, 助手 (60264107)
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Keywords | スピネル化合物 / イオン照射 / イオントラック / 高分解能電子顕微鏡 / 球面収差補正 / 分子動力学計算 / 格子欠陥形成エネルギー / 格子欠陥移動エネルギー |
Research Abstract |
本研究では、強い放射線照射環境下で使用される有力な材料として考えられているMgO・nAl_20_3スピネル結晶について、最新の電子顕微鏡技術による実験と分子動力学計算によって、イオンや電子照射によって形成される構造欠陥を実験と理論計算の両面から原子分解能で解明し、電子励起過程が照射欠陥生成とその挙動に及ぼす効果を明らかにすることを目的としている。すなわち、 (1)イオン・電子照射に伴う照射欠陥の形成とその安定性に関する実験、(2)スピネル中の欠陥形成挙動に関する分子動力学計算機実験、の2項目を研究の主たる柱として研究を進めている。以下に本年度に得られた成果の概略を述べる。 (1)(001)面方位のMgO・nAl_20_3(n=1.1)単結晶ディスク状試料を作製し、それに対して日本原子力研究開発機構のタンデム加速器を用いて200MeV Xe^<14+>イオンならびに350 MeV Au^<28+>イオンを照射した。 (2)照射試料のイオントラック周辺の構造について、加速電圧200kV透過電子顕微鏡を用いて高分解能観察を行った。このとき球面収差補正を試みたところ、トラック内部の像コントラストが大きく改善し、トラック内部の原子構造の解析の可能性が見いだされた。 (3)環状暗視野像観察から、トラック内部での原子密度が低下していることを示唆する結果が得られた。 (4)GULP(General Utility Lattice Program)コードを用いた計算により、スピネル結晶の格子定数、剛性率、エントロピー、熱伝導率を再現するよう原子ポテンシャルパラメーターの精密化を行った. (5)精密化した結晶ポテンシャルを用いて、(i)点欠陥の生成エネルギー,(ii)移動の活性化エネルギー,(揃)点欠陥再結合体積,(iv)サイト交換に伴うエネルギー変化,の数値解析を進めた。
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