2007 Fiscal Year Annual Research Report
耐水素脆化性に優れた複相型水素透過合金の設計と組織制御
Project/Area Number |
18206072
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 清 Kitami Institute of Technology, 工学部, 教授 (70124542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 和宏 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10312448)
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Keywords | 水素透過 / 組織制御 / 耐水素脆化性 / 加工性 / 固溶係数 / 拡散係数 / ジーベルツ則 |
Research Abstract |
水素透過合金には、(1)高い水素透過性、(2)耐水素脆化性および(3)高い加工性の両立が求められている。本研究室で見出したNb40Ti30Ni30合金は、良好な耐水素脆化性と加工性を有しているが、実用上水素透過度が不十分である。そこで、TiとNiの比率を変えた合金で上記(1)〜(3)が満足できるかについて調べた。鋳造状態では、合金の水素透過度および加工性はTi/Ni比が1.14のときに最大となることが分かった。ところが、1173Kで熱処理すると、Ti/Ni比が低い合金では透過度の改善は観察されなかったが、Ti/Ni比が高い領域では透過度が改善した。熱処理とともに水素透過を担う(Nb, Ti)相の体積率が増加するためである。ところが、Ti/Ni比を高くすると、耐水素脆化性が顕著となり水素透過度の測定が不可能になる。従って、選定可能なTi/Ni比には上限があり、1.5程度が適切と考えられる。 合金を透過する水素の流束は、合金の水素透過度および膜前後の圧力の平方根の差に比例し、膜厚に反比例する、水素透過度は拡散係数と固溶係数の積であると言われている。また、ただし、合金の水素吸蔵量が圧力の平方根に比例することが前提になっている。Nb20Ti40Ni40合金の水素吸蔵量をPCT装置を用いて調べたところ、673K、0.1MPaの条件で0.6wt%程度の水素を吸蔵することが分かった。また、解析の結果、水素圧が0.1-0.4MPaの範囲では、水素吸蔵量が圧力の平方根に比例すること、水素の透過に関与しない水素を0.6wt%吸蔵していることがわかった。また、本合金は純Pdと比較して固溶係数が高く拡散係数が低いことが分かった。以上より、Nb-TiNi合金の特性改善には、透過に関与しない水素を低減すること、水素の拡散が容易な組織を作製することであると考えられる。
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