2008 Fiscal Year Annual Research Report
B-H系錯体水素化物の機能設計マップ-基礎物性からエネルギー関連機能への展開-
Project/Area Number |
18206073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折茂 慎一 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (40284129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40213524)
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50293676)
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Keywords | 水素 / 錯体水素化物 / 電気陰性度 / マイクロ波 / 中性子遮蔽 / 超イオン伝導 / エネルギー / 複合材料 |
Research Abstract |
多様な金属Mを用いてM-B-H系錯体水素化物を合成して、その物性や構造特性を解明するとともに、エネルギー関連機能に関わる評価を進めた。水素貯蔵機能の観点では、金属MとしてMgを選定したMg(BH_4)_2が中間化合物の生成を伴う多段反応によって約14質量%の水素を放出することを確認した。この水素放出反応における出発物質Mg(BH_4)_2・中間化合物Mg(B_<12>H_<12>)・および分解生成物α-Bの局所原子構造を解析した結果、BH_4錯イオンからB_<12>H_<12>錯イオンへの原子構造変化ではB原子拡散が必要であり、これが反応律速になるものと結論付けた。一方、このB_<12>H_<12>錯イオンはα-Bと同様な局所原子構造を有するので、この間の反応は容易に進行することも判明した。さらに、このMg(BH_4)2に対しては添加物効果も見出すことができ、特にチタン化合物の添加により水素放出反応が523Kから350Kにまで低下することを確認した。イオン伝導機能の観点では、LiBH_4の高温相(六方晶構造、388K以上)でのリチウム超イオン伝導機構の解明を進めた結果、a・b軸方向にLiイオンとBH_4錯イオンとが等間隔(0.427nm)に位置しており、さらに障壁となる錯イオンがないLiイオン間の拡散(伝導)経路が出現することが判明した。これが結晶構造変化に伴うLiBH_4でのリチウム超イオン伝導を誘起するものと結論付けた。さらに、LiBH_4でのリチウム超イオン伝導を室温で発現させることを目的として、高温相の安定化を狙った材料設計を進めたところ、他元素の添加・固溶によって室温で高温相を安定化させることに成功した。これは新たな超イオン伝導材料の開発の観点で特筆すべき結果といえる。その他、マイクロ波吸収・中性子遮蔽機能の観点から、M-B-H系錯体水素化物(およびその複合材料)の合成や特性評価に関する研究も進めた。
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Research Products
(22 results)