2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18206081
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 亨和 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70272713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 敬 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30101108)
野村 淳子 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (60234936)
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Keywords | カーボン系固体酸 / セルロース / バイオディーゼル合成 / メソポーラスシリカ / αメチルスチレンダイマー |
Research Abstract |
カーボン系固体酸の高性能化・高機能化を目的として材料開発を進めた。 結晶性セルロースを低温で部分的に炭化しスルホ化すると、従来の糖類を原料としたカーボン系固体酸に比べて酸強度が高く、化学的安定性に優れた固体酸が得られた。同じ性能の固体酸は廃木材からも合成できることが確認された。この材料はプロピレンの水和による2-プロパノール合成、高級脂肪酸のエステル化・油脂のエステル交換反応(バイオディーゼル合成)で従来のカーボン系固体酸の触媒活性を上回る性能を示した。 また、カーボン系固体酸の高機能化を目的として、メソポーラスシリカ細孔内でカーボン系固体酸を構築した。ブドウ糖をメソポーラスシリカ細孔内に導入した後、これを部分炭化・スルホ化すると細孔内にカーボン系固体酸を構築できた。従来のカーボン系固体酸の表面積は1m^2g^<-1>程度であるが、細孔内に構築された固体酸の表面積は600m^2g^<-1>に達した。この材料をαメチルスチレンダイマー合成触媒として用い、その性能を評価した。ブレンステッド酸を触媒としてαメチルスチレンを二量化すると、高分子合成に重要な可逆的二量体と、価値がない環状の不可逆な二量体が生じ、両者を分離する必要がある。しかしメソポーラスシリカに構築したカーボン系固体酸は96%の選択率で工業上重要な二量体を合成できることが明らかになった。一方、従来のカーボン系固体酸はこの反応に全く触媒活性を示さない。分光学的手法により、カーボン系固体酸の酸強度はメソポーラスシリカ細孔内ではさらに高くなることが明らかになり、この高い酸強度が選択的反応性に関与している可能性が示唆された。
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