2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18206081
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 亨和 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 教授 (70272713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 敬 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30101108)
野村 淳子 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (60234936)
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Keywords | 固体酸触媒 / セルロース / 加水分解 / βグルカン / オリゴ糖 / グルコース / 硫酸 / スルホ基 |
Research Abstract |
カーボン系固体酸触媒によるセルロースの加水分解に成功した。カーボン系固体酸と水の存在下でセルロースは水溶性βグルカンオリゴ糖とグルコースに加水分解する。カーボン系固体酸触媒によりセルロースからグルコースが生成する場合の見かけの活性化エネルギーは110kJ mol^<-1>であり、硫酸を触媒とした既存の加水分解法(160kJ mol^<-1>)に比べて低い活性化エネルギーで反応が進行することが明らかになった。反応後、糖水溶液とカーボン系固体酸触媒は速やかに分離し、分離した触媒は繰り返し反応に利用できることから、従来の硫酸を触媒とした手法に比べ低環境負荷でセルロースを加水分解できることが確認された。一方、ゼオライトや含水ニオブ酸等の酸性水酸基を有する無機酸化物固体酸、イオン交換樹脂等の高分子固体酸では上記の反応が進行しない。カーボン系固体酸は高密度のスルホ基だけでなく、フェノール性水酸基、カルボン酸基が結合している1nm程度のグラフェンからなるアモルファスカーボンであり、この材料のフェノール性水酸基がセルロースを含めたβグルカンを吸着する能力を有するため、カーボン系固体酸は効率的に上記加水分解反応を触媒することが示唆された。なお、酸性水酸基を有する無機酸化物固体酸は水存在下では十分な酸強度を発揮することができず、また酸量が少ないため、βグルカンを吸着しても効率的に加水分解することはできない。また、スルホ基が結合した高分子固体酸はスルホ基のみを有しているため、βグルカンを吸着できない。
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