2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工受容体を用いた樹状細胞の増幅システムの開発とガン治療への応用
Project/Area Number |
18206083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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Keywords | 抗体 / 受容体 / 造血前駆細胞 / 増殖制御 / シグナル伝達 / がん治療 |
Research Abstract |
これまでに、樹状前駆細胞や造血前駆細胞での増幅効果が示されているc-mp1またはC-kitの細胞外ドメインを抗フルオレセイン(FL)抗体のScFvで置換したキメラ受容体(ScFv-c-mp1またはScFv-c-kit)が、培養細胞株Ba/F3細胞において、抗原であるFL標識BSA(BSA-FL)依存的な増殖シグナルを伝達することを示した。 本年度はこれらのキメラ受容体について、マウス骨髄から取得した造血幹細胞での増幅効果を検証した。まず、ScFv-c-mp1またはScFv-c-kit発現レトロウィルスベクターをマウス造血幹細胞に単独または共導入し、遺伝子導入細胞を、SCFのみ、TPOのみ、SCF+TPO、TPO+BSA-FL、SCF+BSA-FLおよびリガンド無添加で5日間培養し、各条件下で増幅された細胞数とEGFP陽性率を比べた。その結果、ScFv-c-kit導入造血幹細胞ではキメラ受容体による顕著な増殖は見られなかったが、ScFv-c-mp1導入造血幹細胞では、SCF+BSA-FLを加えた場合の細胞数がSPFのみの場合の4倍以上に増加し、EGFP陽性細胞率も増加した。さらに、ScFv-c-mp1導入造血幹細胞について、増幅された細胞が造血幹細胞の機能を保っているかどうかを調べるために、SCFのみ、SCF+TPOおよびSCF+BSA-FLの条件下で増幅した細胞をドナー細胞とし、競合細胞と同時に放射線処理したマウスに移植して骨髄再構築能評価を行った。移植後20週まで4週間ごとに採血し、移植細胞におけるドナー細胞の割合を調べた結果、SCF+BSA-FLで増殖誘導したドナーの造血幹細胞はSCFのみの場合より高い割合でマウスの生体内に存在した。 以上より、ScFv-c-mp1キメラ受容体を用いて遺伝子導入造血幹細胞を選択的に増幅することに成功した.
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