2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白質複合体コネクソンの結晶構造解析によるギャップ結合の動作機構の解明
Project/Area Number |
18207006
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
月原 冨武 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 特任教授 (00032277)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 膜蛋白質 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
生物の構造を上位の階層から辿っていくと、個体、器官、組織、細胞、細胞内小器官、超分子、蛋白質・核酸、小分子の階層構造がある。上位の階層の働きは直ぐ下の階層のものの相互作用によって規定される。細胞が集まって出来ている組織の働きは、それを構成する細胞間の連携によって制御される。 細胞間で比較的小さな分子を細胞間で通過させる所をギャップ結合チャネルという。このギャップ結合を形成しているのは、コネキシンと呼ばれる膜蛋白質が6量体を形成しているコネクソンである。隣り合う細胞膜を貫通するコネクソンがhead-to-headで2量体を形成することによって、ギャップ結合チャネルができる.本研究はギャップ結合チャネルの構造をX線結晶構造解析によって決定して、細胞間の小分子輸送の仕組みを明らかにして、細胞間連携の理解を深めることを目的にしている。 ヒトコネキシン-26ギャップ結合チャネルの構造を3.5A分解能で決定した。その結果、細胞内にあるループ領域とカルボキシ末端ループを除いて、各アミノ酸側鎖の配置も含めて決定することができた。構造決定した領域は21種のヒトコネキシンにおいてアミノ酸残基の保存性の高い部分であり、得られた構造がすべてのギャップ結合チャネルを代表する構造である.従来から提唱されていた4本の膜貫通ヘリックスの配置は誤りであることが明らかになった。難聴の原因になる変異と構造の関係も明らかになった。アミノ末端領域には短いヘリックスが有り、コネクソンでは6個のアミノ末端ヘリックスがチャネルの中央部に集まってロート状の構造を形成し、この部分がチャネルの開閉の際に弁の役割を果たしている。この弁の開閉機構も提案した.細胞外ループ領域がコネクソン間結合に係っていることを明らかにした。 ギャップ結合チャネルとして最初の構造決定であり、今後の研究の要石となる構造を得た。
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