2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18207013
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
堀内 嵩 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 教授 (60108644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 武彦 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教授 (40270475)
定塚 勝樹 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助手 (40291893)
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Keywords | リボゾームRNA遺伝子 / リピート構造 / Fob1タンパク質 / RFB(複製フォーク阻害部位) / コンデンシン / 遺伝子増幅 |
Research Abstract |
(1)真核生物のリボゾームRNA遺伝子(rDNAと呼ぶ)は、リピート遺伝子の典型例である。一方真核生物の複製フォーク阻害点(RFB)は、rDNAユニット内に存在し、以前はrDNAの転写と複製の衝突回避のためにあるとされた。我々の研究室では、RFBでのフォーク阻害に必要なタンパクの遺伝子FOB1を10年前に同定し、Fob1タンパクがそれまで謎であったrDNAのコピー数の増減に必須であることを発見した。事実fob1欠損株ではrDNAのコピー数の増減が停止する。しかし相同組換え活性の高い酵母においては、rDNAのリピート構造維持は謎のため、我々は未知の維持機構を仮定し、その欠損株と思われる株を分離解析することで、その維持には、染色体の凝縮と分離に必須なコンデンシンが働いていることを見出した。しかも、ゲノム全体に働くとされてきたコンデンシンがFob1タンパクに依存して特異的にRFBに結合することを発見した。実際fob1とコンデンシンの2重変異株のrDNAリピート数は激減した。ここでは、そのリピート数の激減は、rDNAの転写酵素PoIIに依存することから、おそらくrDNAの転写がコンデンシンのrDNAへの一般的な結合を阻害していると考えた。結論として一般的なコンデンシンの染色体への結合は、転写に依って阻害されるとした。このことから我々は真核生物一般に見られるM期特異的な転写抑制は、染色体へのコンデンシンの結合に必須あるいは促進するためにあると考えた。 (2)rDNAとは異なる多コピー遣伝子(例えばDHFR)の増加の機構は現在でも不明である。我々は出芽酵母を用いて、高速・高効率な遺伝子増幅系を構築した。この系の効率をさらに上げるため、Cre-lox系を利用した系が可能と考え、実験したところ、2種類の増幅系で同じ増幅産物を得ることができた。このことは、生物個体のどこの組織でも、遣伝子増幅が可能となることを意味する。そのテストに動物細胞(CHO)を用いて、Cre-lox系による増幅系を構築し、現在遺伝子増幅の有無を検討中である。
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