Research Abstract |
(1)タペート崩壊時におけるミトコンドリアの動態 これまでに, 植物に特異的なミトコンドリアの分裂装置ELM1を新規に同定し, 既知のミトコンドリア分裂装置との相互作用を明らかにした. また, 生殖過程におけるミトコンドリアのダイナミクスを生きた細胞で追跡することを試みた. 夕べート, 花粉の精細胞,卵でそれぞれ特異的に発現するプロモータにミトコンドリア局在型のKaedeを連結し,イネおよびシロイヌナズナを形質転換した. 得られたそれぞれの形質転換体は, 意図したとおり夕べ-ト, 精細胞,卵でKaedeを発現していることを確認した. 多光子レーザー顕微鏡を利用してシロイヌナズナの胚珠を取り出し, 胚珠を傷つけることなく夕べート細胞のミトコンドリアを観察したところ, 花粉の形成過程で夕べ-ト細胞が崩壊したのちにほぼ完全な形でミトコンドリアが葯室に放出され, 細胞内にあるときと同じように活発な動きを示すことを確認した. 同様の結果は, イネの夕べ-ト細胞でも観察された.約室内に放出された一部のミトコンドリアについて, 青色光を照射してKaedeタンパク質の蛍光を変換させたところ, ミトコンドリアの運動の範囲は限定されていることがわかった. これは,細胞膜を残したまま細胞が約室内に侵入することを示唆している. 今後は, 夕べート崩壊時に放出されたミトコンドリアが機能しているか否かを明らかにする. 核, 色素体, ベルオキシソームなど他のオルガネラも同様に放出されるかどうかを明らかにする.
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