2008 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化時代における果樹生活環の安定化-休眠芽のレドックスと水の動態制御の分子機構
Project/Area Number |
18208003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70094406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 純子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (90302372)
瀬古 澤由彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (90361310)
吉田 充 農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 状態分析ユニット長 (60353992)
堀金 明美 農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 特別研究員 (40414495)
山口 正己 農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所ナシ・クリ・核果類研究チーム, 上席研究員 (80355370)
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Keywords | 環境 / 気候変動 / 温暖化 / 休眠生理 / 果樹 / MRI / レドックス / 水チャネル |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ニホンナシ'幸水'の休眠芽における経時的芽内酸化還元状態(レドックス)を休眠打破剤のシアナミド処理との関連から、グルタチオン合成酵素遺伝子(GS)、グルタチオン還元酵素遺伝子(GR)、シアン耐性呼吸末端酸化酵素遺伝子(AOX)のmRNA転写物レベルで追跡したところ、12月4日にシアナミド処理した芽では、明らかに処理6時間後にはいずれの酵素遺伝子レベルが上昇していた。対照区も上昇傾向にあるが、その相対的レベルはシアナミド処理で顕著に高く、処理4日後までに速やかに減少していた。12月18日のシアナミド処理でも同様に処理6時間後に上昇する傾向にあったが、12月4日処理に比べ低温遭遇が充足したことが要因と思われるが、対照区でも転写レベルがやや高くなる傾向にあった。一方、モモ`日川白鳳'用い、上記'幸水'と同様の実験を行った。すなわち、12月31日にシアナミド処理を行い、23℃一定の人口気象室に搬入し、2週間後に芽内のレドックス状態を知るため還元型グルタチオン(GSH)、酸化型グルタチオン(GSSG)を測定した。ここでは、さらにブドウにおいてCa機能を高めるとシアン化水素の効果が向上し、逆にCaキレート剤で阻害するとシアン化水素効果が低下するという報告について、モモでも同様な結果が得られるかを試験した。シアナミド処理は休眠打破に効果的であったが、Ca処理についてはブドウの結果とは逆の結果となり、レドックスについてみるとシアナミド処理で総グルタチオン、GSH、SSGとも最も多かったが、GSHの割合(%及び対GSSG比)からみると休眠覚醒率が低かったCa処理後にシアナミド処理したモモで高いことを認め、上記のニホンナシ結果を支持するものである。低温要求性の異なる台木品種が穂品種の休眠覚醒時期に及ぼす影響をみたところ、'オキナワ'台でわずかに低温要求時間髄が短くなったが、開花時期にも台木の影響は少ないことが判明した。
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