Research Abstract |
最先端技術による肥料効率の飛躍的改善と目的成分を供給するために,以下の検討を行った。茶の収量,品質を維持しながら環境負荷を軽減するロングパイル接触施肥法を検討したところ,施肥窒素利用率は側条施肥が36.7%であるのに対し,パイル区では60%〜68%と高かった。この方法で茶葉の収量も確保され,30kgN/10a近くまでの著しい減肥の可能性が示された。またホウレンソウの種子と重窒素標識被覆肥料LPs30を同位置に挿入したシードテープ(接触施肥法)を開発し,養分集積ハウス土壌で箱栽培を行った。その結果,接触施肥区のホウレンソウは肥料焼けすることなく,正常な生育を示し,対照区に比べて,15%増収し,逆に植物体硝酸濃度を3割低減することができた。また施肥窒素利用率は通常の全層区が7%であったのに対して,接触施用区では47%と著しく向上した。植物成長調整剤オーキシンとL-β-フェニル乳酸の水稲根の伸長に及ぼす影響を検討し,1AA処理区では対照区に比べて10-^8で,また,Lβ-フェニル乳酸では,10〜100ppmで種子根長を増加させる傾向が得たが,それ以上の濃度では根伸長が阻害された。リン獲得根伸長を示す新たな作物の検索を20種について行い,アブラナ科のケール,タアサイは強度のリン獲得根伸長を示し植物体リン含量,根量も高かった。またアカザ科のビート,ホウレンソウは,一部のリン酸肥料に弱く絡みつき,中程度のリン獲得根伸長現象と考えられたが,この他の作物種では認められなかった。さらにリン肥沃度のやや低い農耕地土壌を用いた木枠試験で,被覆リン酸一安を用いて,コマツナ,カブ,ダイコンを栽培したところ,健全な生育を示し,根が肥料の廻りを取り囲むリン獲得根伸長を確認した。根毛形成促進rol-c遺伝子を1コピー導入した水稲品種ササニキキのホモ系統幼苗は,草丈が短く矮化したが,根毛の増加は認められなかった。そこで新たにrol-c遺伝子をタバコに導入する実験を開始した。
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