2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム耐性とリンリサイクリング能の分子的改変による酸性土壌耐性植物の創生
Project/Area Number |
18208008
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
我妻 忠雄 Yamagata University, 農学部, 教授 (70007079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (50166831)
小山 博之 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90234921)
信濃 卓郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, チーム長 (20235542)
和崎 淳 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (00374728)
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Keywords | アルミニウム耐性 / QTL解析 / 細胞伸長 / 細胞膜脂質層 / シロイヌナズナ / 糖輸送・代謝 / 二次代謝産物 / リン酸欠乏 |
Research Abstract |
1) イネ品種間で根端のリン脂質(PL)/ステロール(S)比は、細胞膜負荷電性・膜透過性とパラレルであり、A1耐性と逆の関係であることを明らかにした。この関係は、トウモロコシ、コムギ、ライコムギ、エンドウ、ソルゴー品種間においても同様であった。また、S合成鍵遺伝子CYP51をノック・ダウンした植物のA1耐性が著しく弱くなることも明らかにした。 (2) A1は、タバコ培養細胞や根のショ糖・グルコースの取り込みを阻害し、細胞内の遊離糖の消費を促進することを見いだした。その結果、浸透濃度上昇が阻害され、細胞・根伸長の阻害に至ると思われた。さらに、イネ発芽期のA1高感受性変異系統を解析し、この形質が優性で、草丈とも関係している可能性を見いだした。 3) シロイヌナズナの集団遺伝学解析を実施し、従来特定されていたリンゴ酸放出による遺伝子座とは異なる位置にQTLを検出した。この遺伝子座は、活性酸素消去に関わる遺伝子を含むと、推定した。さらに、細胞膜表面荷電とイオン耐性に関する知見を、Gouy-Chapman-Sternモデルから検証し、A1耐性に有機酸放出以外の因子も関連するとする説を実験的に証明することに成功した。 (4) リン酸欠乏の応答機構における植物種間差が最も顕著である二次代謝に着目した。その結果、イネ根部でのリグニン合成の促進、シロイヌナズナ地上部でのフラボノールグリコシド生合成の促進、ミヤコグサ根部でのフラボノイド生成がリン酸欠乏により引き起こされると示された。また、3種植物に共通して、リン酸欠乏によって脂質代謝の変化が引き起こされ、体内の効率的リン利用効率の向上およびリンのリサイクルに貢献していることが示唆された。
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Research Products
(25 results)