2008 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶カテキン受容体を介したカテキンの機能性発現とシグナリングの統合解析
Project/Area Number |
18208012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立花 宏文 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (70236545)
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Keywords | 緑茶 / がん予防 / EGCG / 分子標的 / MYPT1 / 67LR / 受容体 / 感受性 |
Research Abstract |
EGCGによる細胞増殖抑制作用ならびにヒスタミン放出抑制作用にミオシン軽鎖のリン酸化レベルの低下が関与していることをこれまでに明らかにしてきたが、ミオシン軽鎖のリン酸化はミオシン軽鎖キナーゼとミオシン軽鎖フォスファターゼにより調節されている。そこで、ミオシン軽鎖フォスファターゼの活性調節サブユニットMYPT1の関与について検討した結果、RNAiによるMYPT1の発現抑制により、EGCGによる細胞増殖抑制作用、ヒスタミン放出抑制作用、ミオシン軽鎖のリン酸化低下作用のいずれもが阻害された。また、EGCGはMYPT1の活性を負に制御しているThr-696のリン酸化レベルを低下させるが、Thr-853のリン酸化には影響しないこと、このThr-696リン酸化低下作用が67LRもしくはeEFIAのノックダウンにより阻害されることを明らかにした。さらに、MYPT1の発現をノックダウンしたB16細胞移植マウスにおいてもEGCG経口摂取による腫瘍成長抑制作用が阻害された。これらの結果より、eEF1AおよびMYPT1がEGCGの細胞増殖抑制作用を伝達する細胞内分子であることが示され、67LRからMYPT1の活性化につながるシグナル伝達経路の存在が明らかになった。 67LR分子におけるEGCGの結合部位を同定するため、67LRの細胞外ドメインを10分割した各20aa長のペプチドを合成し、これらペプチドによるEGCGの細胞表面結合性および細胞増殖抑制作用に対する中和活性を評価した。その結果、いずれにおいても161-180の配列ペプチドのみが中和活性を示した。次に161-180の配列を一部カバーする様々なペプチドを用いた検討から、161-170の配列ペプチドがこれら中和活性の発現に必要かつ十分であること、さらに、67LR161-170とEGCGとの結合ピークが質量分析により確認された。以上の結果から、67LRにおけるEGCGの結合部位は161-170配列であることが示された。
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