2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系における水・物質動態の流域特性の広域比較研究
Project/Area Number |
18208014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹下 健 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20179922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70281798)
大槻 恭一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80183763)
蔵治 光一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (90282566)
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70315357)
戸田 浩人 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (00237091)
|
Keywords | 量水観測 / 渓流水質 / 森林気象 / 水質形成 / 水分動態 / 物質動態 / 流出特性 / 広域比較 |
Research Abstract |
北海道から沖縄県までの21の大学演習林の27箇所で気観測を継続し、観測データの確保を図ると共に、ウェブサイトでの観測データの即時公開を進めた。山地渓流の量水観測を20流域で、水質観測を22流域でそれぞれ継続し、水質観測では機器のクロスチェックによって観測データの精度確保に努めた。特に、今年度琉球大学演習林に設置した量水堰堤について観測体制を整備した。広域比較のために必要な観測森林流域の属性に関して、東京大学千葉演習林と東京農工大学大谷山演習林の観測森林流域を対象に、気温や降水量などの一つの数値で表せる属性の他に、地形や植生などの面的情報で表される属性について検討した。地形情報、とくに地表面の地形と土層厚とから推定される基岩が形成する地形に関する情報が、地下水の滞留・流出・隣接流域への越流などの水文特性に大きな影響を与える可能性があることを明らかにした。山地渓流の水質形成に関して、水の安定同位体やトリチウム、フロン類(chlorofluorocarbons, CFCs)、六フッ化硫黄(SF6)などのトレーサを用いて、ハイドログラフの特徴が異なる宮崎大・田野演習林、東大・樹芸研究所、九大・福岡演習林、鹿大・高隈演習林の各森林流域の基底流時の平均滞留時間を調べ、相対的な比較を行う方法を提案した。また、ハイドログラフから推定される平均滞留時間の長短とトレーサを用いて推定される平均滞留時間の長短とに相関がみられることを明らかにした。土壌の保水性に関わる撥水性発現の時空間的変動に関して、表層土壌の撥水性発現と過去の積算降水量と大気湿度との間に相関があることを明らかにした。
|
Research Products
(11 results)