2007 Fiscal Year Annual Research Report
劇症型樹木萎凋病の発病メカニズムに関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
18208015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二井 一禎 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (50165445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 順一 京都大学, 農学研究科, 教授 (80115782)
山田 利博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
植原 健人 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究官 (30355458)
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Keywords | 劇症型森林流行病 / マツ枯れ / ナラ枯れ / 弱病原性系統 / 体表面タンパク / カジノナガキクイムシ / 防御応答 / 酵母類 |
Research Abstract |
劇症型森林流行病である"マツ枯れ"については、病原体マツノザイセンチュウのヒートショックプロテイン70Aの多型性に基づき地域間の個体群の遺伝子型の分布を解析し、弱病原性系統が一定の割合で現在も分布することを明らかにした。また、このような弱病原性系統を人工的に寄主マツ樹に接種した場合、寄主を発病させないままその材内で7か月以上生存することを実証した。さらに、このようなマツノザイセンチュウの病原性を決定する因子として、その体表を構成する物質に着目し、線虫の令期ごとの違いや病原性の強いものと弱い者の間での違いを手掛かりに、病原性因子の特定に向けて一定の進展が得られた。 一方、"ナラ枯れ"に関しては病原菌である俗称ナラ菌の媒介者であるカシノナガキクイムシ(カシナガ)の寄主樹木への飛来密度と樹幹への穿孔密度の関係を明らかにするとともに、穿孔後のカシナガの食餌酵母の材内分布、種構成を明らかにすることにより、酵母群集の中でこのキクイムシの個体群維持に重要である種の特定を試みた。さらに、病原菌感染後の寄主の防御反応を樹種間で比較するため、野外に生育している成木と鉢植えした苗木を対象にし病原菌を人工接種し、その後の防御反応を材内に生成される防御物質の時空間的な変動を追うことにより調査した。その結果、エラグ酸、没食子酸、カフェー酸などポリフェノール性二次代謝産物に感染に伴う変動が認められ、これら物質を指標に防御応答を研究する手がかりが得られた。
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Research Products
(4 results)