2007 Fiscal Year Annual Research Report
サケの嗅覚機能を指標とした母川水識別機構に関する研究
Project/Area Number |
18208017
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 宏 Hokkaido University, 北方生物園フィールド科学センター, 教授 (00160177)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70281798)
安住 薫 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90221720)
伴 真俊 独立行政法人水産総合研究センター, さけますセンター・さけます研究部, 主任研究員 (80425462)
|
Keywords | サケ / 母川回帰 / 嗅覚機能 / アミノ酸組成 / ニオイ受容体 / 嗅上皮DNAチップ / サケ資源 |
Research Abstract |
我国で再生産している4種のサケ(シロザケ・カラフトマス・ベニザケ・サクラマス)親魚の嗅覚機能を指標とした母川水識別機構を解析して、シロザケ・カラフトマスの安定回帰、およびサクラマス・ベニザケの資源増産させるための方法を明らかにするため、以下の研究を行った。 1)河川水のアミノ酸組成に対するサケの嗅覚機能の解析:(1)Y字水路を用いた選択行動実験:サクラマス・ベニザケ・シロザケ・カラフトマス親魚が回帰した河川水のアミノ酸組成をアミノ酸分析システムにより解析し、人工アミノ酸母川水(人工母川水)に対する選択行動実験を調べたところ、それぞれ81.3・75.9・85.7・59.3%の選択率を示し、カラフトマス以外は有意に人工アミノ酸河川水を選択することが判明した。(2)ニオイ受容体遺伝子(OR)の分子生物学的解析:2種類のヒメマスOR(LSSOR1・2)とシロザケOR(CSOR1・2)の母川記銘時(銀化期と降河回遊時)と母川回帰時の発現量の変動をリアルタイムPCRにより解析したところ、LSSOR1・2は母川記銘時に、CSOR1は母川回帰時に発現量が増加した。 2)河川水のアミノ酸の起源と季節変化の解析:(1)アミノ酸の起源の解析:豊平川の付着藻類の単藻培養したところ、付着藻類がアミノ酸を産生していることが判明した。付着藻類以外の微生物が産生しているアミノ酸を分析している。(2)アミノ酸の季節変化の解析:天塩川の源流部から河口域までの流域生態系が異なる7地点において4年間にわたってアミノ酸組成を分析したところ、変動アミノ断組成があることが判明した。 3)海水のニオイ成分の解析:海水中のアミノ酸組成をアミノ酸分析システムにより分析する方法を確立し、海水中のアミノ酸組成を分析した。 4)サケ嗅上皮DNAチップによる水質診断法の開発:シロザケ嗅上皮のcDNAを用いて、母川記銘と母川回帰行動に関わる遺伝子を網羅的に検索するための、発現解析型cDNAマイクロアレイを作製した。作製されたマイクロアレイには約650種類のcDNAが搭載されていると考えられた。
|
Research Products
(12 results)