2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18209001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (50214680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 一典 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50303897)
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Keywords | 求核触媒 / アシル化 / 無保護 / リン酸化 / 硫酸化 / ポリオール / 糖 / グルコース |
Research Abstract |
多官能基性化合物への位置選択的な置換基導入は次世代の合成目標のひとつで、例えば糖類への位置選択的な保護基導入は多糖類の合成や天然物の全合成、コンビナトリアルライブラリー構築の鍵となるステップで、通常は保護-脱保護の操作を駆使して行なわれる。本研究ではこのような分子変換を一段階で行う触媒的方法の開発を目的としている。まず、多官能基性化合物として1つの1級水酸基と3つの2級水酸基を分子内に持つグルコース誘導体を選び、不斉求核触媒を用いるその位置選択的アシル化を行なった。分子認識能のない触媒(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)など)では最も反応性の高い6位1級水酸基が主にアシル化されるが、選択性は低く全体としてはランダムなアシル化が進行する。一方、我々が既に開発している不斉求核触媒のミニライブラリー(20種類程度)を用いて位置選択的アシル化を検討した結果、6位1級水酸基に優先して4位2級水酸基をアシル化する触媒を見いだした。位置選択性は最高61%であったが、それでも同反応について報告されている最高の位置選択性(58〜61%, Miller, et al. Acc.Chem.Res.2004,37,601)と同等で、位置選択的官能基化開発への糸口を見つけた。次にトリプトファンを認識部位とするC_2-対称不斉求核触媒を新たに設計、合成して上記化合物のアシル化に用いると91%の位置選択性で4位2級水酸基のアシル化が進行した。さらに反応条件を精査すると収率98%、位置選択性99%で、4位の2級水酸基のみがアシル化され、実質的に単一の生成物が得られた。同化合物は本触媒により一段階98%収率で得られるが、従来の保護-脱保護法では5工程を要し、総収率46%である。即ち、この方法の開発により糖類の合成ステップを大幅に短縮できた。また反応機構を精査し、ポリオール類の位置選択的官能基化の方法論を提案した。
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