2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18209001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (50214680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 一典 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50303897)
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Keywords | 求核触媒 / アシル化 / 無保護糖 / リン酸化 / 硫酸化 / ポリオール / 糖 / グルコース |
Research Abstract |
多官能基性化合物への位置選択的な置換基導入は次世代の合成目標のひとつで、例えば糖類への位置選択的な保護基導入は多糖類の合成や天然物の全合成、コンビナトリアルライブラリー構築の鍵となるステップで、通常は保護-脱保護の操作を駆使して行なわれる。本研究ではこのような分子変換を一段階で行う触媒的方法の開発を目的としている。多官能基性化合物として1つの1級水酸基と3つの2級水酸基を分子内に持つ無保護単糖類を選び、不斉求核触媒を用いる位置選択的アシル化を行なった。分子認識能のない触媒(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)など)では最も反応性の高い6位1級水酸基が主にアシル化されるが、選択性は低く全体としてはランダムなアシル化が進行する。一方、今回我々が開発した糖認識部としてトリプトファン構造を持つC2-対称性不斉求核触媒を用いて位置選択的アシル化を検討した結果、6位1級水酸基に優先して4位2級水酸基のアシル化が最高99%の位置および官能基選択性を伴って進行した。同化合物は本触媒により一段階98%収率で得られるが、従来の保護-脱保護法では5工程を要し、総収率46%である。即ち、この方法の開発により糖類の合成ステップを大幅に短縮できた。また反応機構を精査し、ポリオール類の位置選択的官能基化の方法論を提案した。また本反応を基軸とする保護グルコースの合成を行なった。無保護グルコースを本触媒により4位選択的なアシル化に付した後、6位1級水酸基をTBS保護、ついで2位2級水酸基にBoc基を導入し、最後に3位2級水酸基にBOM基を導入した。全ての工程での位置選択性は99%以上で総収率94%であった。さらにこれらの保護基は選択的除去が容易で、保護モノオールがそれぞれ96%以上の収率で得られた。
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