2006 Fiscal Year Annual Research Report
体内および細胞内リアルタイム動態解析に基づく遺伝子キャリアデザインの最適化
Project/Area Number |
18209006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20322307)
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 産学官連携研究員 (40402797)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / ターゲティング / カチオン性リポソーム / 遺伝子治療 / 免疫応答 / プロトンスボンジ効果 / 非ウィルス性キャリア / プラスミドDNA |
Research Abstract |
難治性疾患に対する遺伝子治療法の開発は期待が大きいものの、in vivoでの効果的かつ安全な遺伝子導入ベクターの開発が進んでいないため、十分な成果が上がっていない。本研究の目的は、生体内への投与から標的細胞での遺伝子発現までにはばかる遺伝子発現に関わる種々の障壁を分析し、論理的な設計により新規高効率遺伝子導入システムを開発することである。1)細胞内動態制御に関する検討:遺伝子発現の一つの障壁としてエンドソーム内での酵素切断があげられる。そこで本年は、ヒスチジンがエンドソーム内でプロトンスポンジ効果によりエンドソーム膜を破壊することを利用し、遺伝子のエンドソームからの脱出促進を目的に、従来の肝細胞ターゲティング型リポソーム(ガラクトース修飾リポソーム:Galリポソーム)にヒスチジンを導入したGal-Hisリポソームを作成した。ガラクトースを認識するアシア口糖タンパク質レセプターを高発現するHepG2細胞を用いて検討をおこなったところGalリポソームと比較しGal-Hisリポソームにより遺伝子の取り込み量並びに発現量の有意な増加が認められた。2)キャリアの安全性に関する検討:臨床応用に向けてカチオン性リポソームとプラスミドDNAの複合体(リポプレックス)投与後の免疫応答が問題となる。そこで本年度はまずリポプレックスの投与量ならびに混合比の影響を網羅的に検討した。結果、混合比より投与量の増大により遺伝子発現量も増大するが同時に免疫応答も増大することが明らかとなった。さらに、投与量が重要な要素となり、投与量を適正に設定することにより免疫応答を抑え遺伝子発現を挙げることが可能であることが分かった。以上、本年度は、遺伝子導入効率の改善およびリポプレックスによる免疫応答の基礎的な検討により、新規遺伝子導入システムの論理的設計に有用な情報を得ることができた。
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