2009 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒の制御機構におけるオレキシンの役割とその作用機構の解明
Project/Area Number |
18209008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松崎 一葉 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10229453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 武 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60251055)
人鹿山 容子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90312834)
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Keywords | オレキシン / 睡眠 / 覚醒 / パソプレッシン / TRH / アセチルコリン / GABA |
Research Abstract |
オレキシン神経に特異的にCre recombinaseを発現させたマウスを作製し、GABAb受容体遺伝子がオレキシン神経に特異的に欠損したマウスを作製した。このマウスのオレキシン神経は、GABAa入力が増加し、その結果膜抵抗の低下を招いて興奮性入力と抑制性入力の双方がブロックされていた。このマウスは睡眠・覚醒状態が極度に分断化しており、オレキシン神経へのGABAb入力が覚醒・睡眠の安定性に重要であることが示された。さらに、5HT1A受容体のオレキシン神経特異的欠損マウスを完成して、解析した結果、やはり睡眠・覚醒の分断化をもたらすことを明らかにした。また、オレキシン神経を欠損させたマウスモデルにおいて、主な作用部位であるモノアミン神経系の慢性的変化を検討した。オレキシン産生神経の欠損がモノアミン系神経へのGABA入力の低下をもたらし、代償的にこれらの神経の活動を増加させることが明らかになった。このことにより、慢性のオレキシン欠損であるナルコレプシーの病態生理を明らかにした。 ナルコレプシーはオレキシン産生神経の欠損によっておこるが、どの程度の欠損により症状が顕在化するのか、また、どの程度の欠損がどのような症状を引き起こすのかが明らかになっていない。これらを明らかにするために、conditional ablationを行い、部位別に神経を除去した際の表現系を検討した。さまざまな程度のオレキシン神経欠損を作成し、睡眠・覚醒状態の異常を検討し、どの部位のどの程度の欠損がどのような睡眠・覚醒異常をもたらすかを検討した。これらの結果は、一部はすでに論文として出版し、他に関しても投稿中である。
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