2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPの機能と疾患への分子基盤の解明
Project/Area Number |
18209009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 明道 Osaka University, 薬学研究科, 副学長(教授) (70107100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30240849)
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (10335367)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
橋本 亮太 大阪大学, 子どものこころの分子制御機構研究センター, 特任助手 (10370983)
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Keywords | 神経ペプチドPACAP / 遺伝子改変マウス / 精神疾患・障害 / 統合失調症 / SNPs(一塩基多型) / 概日リズム / 糖尿病 / 膵島過形成 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが作製した4種のPACAP関連遺伝子変異マウスの解析から見出した知見をもとに、中枢神経系(記憶、リズム制御、精神運動機能)および膵臓(インスリン分泌、ランゲルハンス島(ラ氏島)形成)の機能におけるPACAPの作用機構と変異マウス表現型の分子基盤解明を行い、またそれらをヒト疾患の症候・中間表現型へ比較・外挿することで、疾患の分子基盤としてのPACAPシグナル系の意義を確立することを目的として計画・実施し、平成18年度は以下の成果を得た。 1)PACAP遺伝子欠損マウス(PACAP-KO)の中枢機能異常のほとんどが、低用量PACAPの単回脳室内投与によりレスキューされることを明らかにし、PACAPによる即時的脳機能調節を示唆した。 2)PACAPが統合失調症関連遺伝子DISC1の発現量および細胞内蛋白局在を変化させることを明らかにし、本機構が神経突起伸展等、PACAPによる長期的な神経賦活作用に関与することを示唆した。 3)統合失調症との関連解析により、ヒトPACAP遺伝子上の特定の一塩基多型が、本疾患の発病およびその中間表現型である認知機能障害の増悪度と有意に関連することを明らかにした。 4)概日リズム中枢の網羅的遺伝子発現解析により、PACAP-KOにおける光応答性著減の遺伝子レベルでの実証、およびリズムの位相前進性光同調に特異的に関与する遺伝子の絞り込みを達成した。 5)PACAP-KOの概日リズム行動について新たな機能障害(early bird phenotype)を見出した。 6)変異マウスの膵形態解析から同定したPACAP応答遺伝子RegIIIβ等に関して、そのPACAP応答性と細胞増殖制御機能をin vitro実験系で再現し、更にインスリン分泌との関連を検討した。 7)膵ラ氏島特異的PACAP過剰発現マウス(PACAP-Tg)の解析から、新たにPACAPの膵炎への関与を見出した。またPACAP-KOでの検討から、膵不全様病態への関与も示唆した。
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