2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPの機能と疾患への分子基盤の解明
Project/Area Number |
18209009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 明道 Osaka University, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (10335367)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
橋本 亮太 大阪大学, 子どものこころの分子制御機構研究センター, 特任准教授 (10370983)
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Keywords | 神経ペプチドPACAP / 遺伝子改変マウス / 精神疾患・障害 / 統合失調症 / 概日リズム / プロスタグランジン / 膵島過形成 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究は、中枢神経系(記憶、リズム制御、精神運動機能)および膵臓(インスリン分泌、ランゲルハンス島(ラ氏島)形成)の機能におけるPACAPの作用機構と変異マウス表現型の分子基盤解明を行い、それらをヒト疾患の症候・中間表現型へ比較・外挿することで、疾患の分子基盤としてのPACAPシグナル系の意義を確立することを目的として計画・実施し、平成20年度は以下の成果を得た。 1)PACAP欠損マウス(PACAP-KO)の精神運動行動異常が、生後特定時期の飼育環境(豊かな環境、隔離飼育)によって大きく変化することを見出した。 2)PACAP-KOの感覚入力処理障害の関与回路として、前頭皮質、室傍核、扁桃核経路を同定した。 3)PACAP-KOの概日リズム制御異常へのプロスタグランジンD2(PGD_2)合成酵素-PGD_2-CRTH2シグナルの関与を見出し、これまで末梢機能しか知られていなかったCRTH2の新規機能を示唆した。 4)PACAP-KOにおけるうつ様表現型の詳細を明らかにし、併せてヒトPACAP遺伝子上の特定の一塩基多型と大うつ病との、弱いながらも有意な関連性を明らかにした。 5)PACAPの作用標的RegIIIβが、PACAPが有する種々の抗II型糖尿病作用(糖不応答性、過増殖、細胞死の抑制効果)のうち、過増殖抑制を特異的に担うことを明らかにした。 6)膵腺房細胞株の検討から、急性膵炎時にRegIIIβがPACAPの作用標的として働くことを示唆した。 7)ラ氏島過形成関与分子として同定した機能未知分子HPGBが、ミトコンドリア内膜で機能し、その分子内にミトコンドリアへの局在化やその形態制御に関わるドメインを有することを明らかにした。
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