2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる細胞増殖、分化、運動の制御機構
Project/Area Number |
18209011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50274064)
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Keywords | Wnt-3a / LRP6 / 受容体 / β-カテニン / カベオリン / Axin / インターナリゼーション |
Research Abstract |
本年度はWnt-3aによるβ-カテニンの安定化の分子機構を明らかにすることを試みた。まず、Wnt-3aを精製して、その翻訳後修飾について解析した。Wnt-3aにはパルミチン酸に加えて、87番と298番のアスパラギンに糖鎖が附加されていた。糖鎖の修飾はパルミチン酸化に必要であり、また、Wnt-3aの分泌に必須であった。パルミチン酸化は分泌には必要ではなかったが、パルミチン酸化されていないWnt-3aはFrizzledやLRP6等のWnt受容体と結合できなかった。 Wnt-3aがLRP6と結合した後に、LRP6はインターナリゼーションされた。この際にLRP6はカベオリンと複合体を形成して、カベオリンRNAiによりインターナリゼーションが抑制された。カベオリンは細胞膜の脂質ラフトに存在しているが、LRP6も脂質ラフトに局在した。脂質ラフトを破壊するnystatinにより、LRP6のインターナリゼーションが阻害された。したがって、Wnt-3aはカベオリン依存性にLRP6のインターナリゼーションを引き起こすことが明らかになった。Wnt-3aによりLRP6はリン酸化されるが、リン酸化LRP6とAxinは強く結合して、カベオリンはリン酸化LRP6を介してAxinと複合体を形成した。この複合体中では、カベオリンはAxinとβ-カテニンの結合を抑制した。β-カテニンはAxinと結合することで分解されるので、カベオリンはβ-カテニンの安定化に必要とされると推測された。この予想に一致して、カベオリンRNAiとnystatinによりWnt-3a依存性のβ-カテニンの安定化が抑制された。これらの結果から、 (1)Wnt-3aはカベオリン依存性のLRP6のインターナリゼーションを引き起こすこと (2)カベオリンがLRP6に結合したAxinに作用することにより、β-カテニンをAxinから遊離して、β-カテニンを安定化することが明らかになった。
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Research Products
(16 results)