2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる細胞増殖、分化、運動の制御機構
Project/Area Number |
18209011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
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Keywords | Wnt3a / LRP6 / 受容体 / カベオリン / β-カテニン / 細胞極性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、Wnt3aによるβ-カテニンの安定化の分子機構を明らかにすることを試みた。Wnt3aが受容体LRP6と結合した後に、LRP6はリン酸化され、インタナリーゼーションされるが、これらは独立した事象であり、両者が起こらなければβ-カテニンは安定化しなかった。私共は、カベオリンがWnt3aによるβ-カテニンの安定化に必要であることをすでに明らかにしている。本来不活性型であるLRP6の細胞質領域(LRP6C)にカベオリンを融合させる(LRP6C-Cav)と、この融合蛋白質はリン酸化され、やはり細胞内で小顆粒状に存在し、カベオリンと複合体を形成して、β-カテニンを安定化した。さらに、カベオリンの膜結合領域を融合させるだけで活性型になることも判明した。これらの結果から、LRP6がカベオリンの局在する細胞膜状の領域(脂質ラフト画分)に存在することが、Wntによるβ-カテニンの安定化に重要であることが明らかになった。 また、Wntシグナルによる細胞形態、極性の制御機構を解明するために、上皮細胞(MDCK細胞)の3次元培養と神経細胞(胎児海馬神経細胞)の初代培養の実験系を確立した。Wntシグナルの構成分子であるDv1をノックダウンすると、MDCK細胞の頂底部極性形成が阻害された。また、MDCK細胞はHGF刺激により管構造を形成するが、Dv1をノックダウンするとHGF依存性の管形成が認められなくなった。胎児海馬神経細胞は極性を獲得することにより、軸索と樹状突起を伸長するが、Wnt3aとWnt5aを作用させると、軸索と樹状突起の伸長に異常が認められた。これらの結果から、Wntシグナルによる細胞形態、極性の制御に関与することが示唆された。
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Research Products
(20 results)