2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18209013
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 真人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50209912)
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Keywords | マイコプラズマ / 滑走運動 / 電子顕微鏡 / 分子形態 / 細胞骨格 / 超分子構造 / 細胞接着 / 抗原性変化 |
Research Abstract |
もっとも速い速度で運動する、マイコプラズマ=モービレ(Mycoplasma mobile)と、ヒトの病原菌であるマイコプラズマ=ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)の両方を用いて研究を行い以下の成果を得た(それぞれ(1-4)と(5-6))。(1)滑走のギアとして働いているタンパク質、Gli521を単離精製し、構造を解析した。分子は3つのドメインから成り、3本の長い腕から構成されていることが明らかになった。(2)滑走装置の深部構造を明らかにするため、細胞膜を界面活性剤で少しずつ取りのぞき、電子顕微鏡で観察した。そこには全く新しい、細胞骨格様の構造が存在していた。その構造の形態を詳細に解析すると共に、構成する数個のタンパク質を同定した。(3)装置の実際の動きを検出することを目的として、滑走タンパク質に対するモノクローナル抗体をライブラリーから取得した。様々な部位に結合して、運動に様々な影響を与える多数の抗体が取得された。(4)滑走装置の進化的由来を議論するため、滑走装置以外の細胞表面に存在して抗原性変化を引き起こしているタンパク質、MvspIを単離精製し、その構造を解析した。球状および繊維状の2ドメインから構成されている構造は、滑走装置を思い起こさせるものであった。(5)滑走の足のタンパク質である、P1アドヘジンタンパク質を単離精製し、構造を解析した。分子が2つのドメインからなり、1ヶ所の膜貫通セグメントを持っていること、全体としては球状の形態であること、などが明らかになった。(6)滑走装置を支える細胞骨格である「ロッド」を観察する方法を再検討した。その結果、ロッドの片側にモップの様な回転対称体が存在すること、回転対称体が細胞の基部側に位置していること、などが明らかになった。
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