Research Abstract |
ヒト活性化血小根上清を作成し,その成分を解析するとともに,各種細胞・組織に対する作用を調べた.培養ヒト腎臓メサンギウム細胞,ラット肝臓,白血病細胞株などを用い検討を進めた.腎臓メサンギウム細胞に関しては,血小板活性化上清による収縮作用を確認し,現在,この現象の糸球体腎炎における関与を追求している,また,この際,血小板活性化上清の成分の中で,スフィンゴシン1-リン酸が重要であることを明らかにし,現在,論文投稿中である. スフィンゴシン1-リン酸とそれが属するリゾリン脂質ファミリーの一員であるリゾホスファチジン酸(とその関連物質)について,臨床検査への応用を念頭に置いた測定系を確立した.また,その際に最も重要な検体となる血漿検体の最適採取方法を確立し,現在,論文投稿中である.さらには,学内倫理委員会の承認を受けた後,健常人,各疾患症例の血漿検体の測定を通して,その臨床的意義を模索している. これまで,慢性肝疾患における,リゾホスファチジン酸とその産生酵素リゾホスホリパーゼDの上昇,肝臓線維化との良好な相関を明らかにした.また,血球とくにリンパ球では,スフィンゴシン1-リン酸受容体(S1P1)が強く発現していることを明らかにし,造血器腫瘍における診断的意義を現在,追求している.また,前立腺癌患者症例の検討を進めていく過程で,リゾホスホリパーゼD測定の栄養アセスメントマーカーとしての可能性を示唆できる結果を明らかにした. 次年度も,以上の研究を継続させ,血小板生物学の構築に寄与し,臨床検査医学の新領域を開拓することを目指すものである.
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