Research Abstract |
血小板関連生理活性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(Sph-1-P),リゾホスファチジン酸(LPA)の測定の臨床検査医学的応用に関する研究を進めた. 血漿Sph-1-Pの測定に関しては,最適の検体採取法,測定法を確立し,それに基づき,基準値を提案した(Ohkawa,R.ら).また,慢性肝疾患で血漿Sph-1-Pが低下することを明らかにし,現在,投稿中である. 一方,LPAに関しては多角的な測定を行った.従来からの酵素サイクリング法と質量分析法の両方法によるLPA測定結果を統合的に解析し,両法の信頼性を確認するともに,自動分析が可能な酵素サイクリング法の実用性・有用性を証明した.さらに,血漿LPAと血清オートタキシン(ATX)が非常によく相関し,後者が前者を規定することを明らかにした(Hosogaya,S.ら).これを踏まえ,検体調整・測定が容易である血清ATX測定の臨床的意義を追求した.現時点で,慢性肝疾患(Watanabe,N.ら),濾胞性リンパ腫(Masuda,A.ら)における血清ATXの上昇を明らかにした.機序に関しては,前者においては,肝における代謝の遅延,後者においては,腫瘍細胞の産生亢進によると想定された.一方,血清ATXレベルは腎機能の影響を受けないなど,およその体内動態を明らかにすることができた.なお,いくつかの病態においては,血漿LPAも合わせて測定したが,やはり,血清ATXとよく相関した. 以上のように,LPA/ATXの臨床検査医学的応用に関して,飛躍的な進歩をみた.
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