2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗血小板薬の薬効モニタリングの為の新しい指標の探索
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18209021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村田 満 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50174305)
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Keywords | 抗血小板薬 / 血小板機能 / モニタリング / 臨床検査 / 血栓症 / 遺伝子ターゲティング / トランスクリプトーム解析 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は抗血小板薬の薬効予測やモニタリングに有効な物質を探索し、実際の臨床検査に応用することである。抗血小板服用者あるいは服用予定者からの血液サンプル、造血幹細胞[bone marrow (BM) CD34+ cellsあるいはbone marrow mononuclear cells (BMMNC)]を主に用いて抗血小板薬の薬効に関連する因子を探索する。また、in vitro遺伝子ターゲティングにより得た血小板サンプルを対象に抗血小板薬との反応性を検討する。 平成18年度は(1)抗血小板薬服用患者180名からのサンプル収集と解析用サンプルの前処置、血小板機能データ解析を行った。研究登録患者の抗血小板薬の服用状況はアスピリンが約75%、チクロピジンが約25%、シロスタゾールが約10%で、それぞれの単剤使用がほとんどであった。血小板機能データ解析の結果、アスピリン服用群の約10%、チクロピジン服用群の約15%に抗血小板薬に対する不応を示唆する結果を得た。(2)抗血小板薬アスピリン服用の前後での血小板RNAトランスクリプトーム解析(54,675種類の遺伝子配列)の結果、有意な変動を認めたのは発現増加1301因子、その低下68因子であった。それら変動因子の上位で血小板機能発現に重要な因子はPI3-kinase p85とcalmodulinであり、いずれもアスピリン服用後に遺伝子発現の減少を示した。(3)アスピリン服用患者、非服用患者のBMMNCを採取し、in vitro分化誘導法を用いて巨核球分化、血小板産生を認めた。血小板産生過程の各段階でのmRNAとプロテインを抽出し今後の解析用サンプルの前処置を行った。(4)BM CD34+ cellを用いた遺伝子導入をこれまでに多くの細胞での自験データの蓄積がある2種類の発現ベクターを用い、種々の遺伝子導入方法による導入効率の差異を検討した結果、エレクトロポレーション法による遺伝子導入が高い導入効率(65%)を示した。 以上、研究初年度である本年度はサンプル収集、血小板のアスピリン反応性に関与する因子の網羅的解析、そして今後行う実験プロトコールの最適化に重点をおいた研究を遂行した。
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