2006 Fiscal Year Annual Research Report
デンドライトを起点とするストレスに対するサーベイランスとシグナルネットワーク形成
Project/Area Number |
18209026
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
河野 公俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (00153479)
戸倉 新樹 産業医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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Keywords | デンドライト / 樹状細胞 / 神経ペプチド / ランゲルハンス細胞 / 免疫系 / アポトーシス / 酸化ストレス / ホメオサーベイランス |
Research Abstract |
樹状細胞や神経、ランゲルハンス細胞、骨細胞などに発現する樹状突起「デンドライト」は外的・内的環境下で生体内のgatewayとしてストレスを受容し、細胞内では、デンドライトで受容した物理的、及び、化学的ストレスを化学的シグナルに変換して様々な細胞機能を誘導し、あらゆる生体防御反応過程をイニシエーションする。平成18年度には、多様な細胞に於けるストレスに対するセンサーとしてのデンドライトの役割、細胞内シグナルへの変換機構を追究した。例えば、神経デンドライトでは、浸透圧刺激を受容してGALPの誘導、軸索終末でのサリューシンβ傍分泌を介するバゾプレッシン分泌促進、TRPファミリーやCRHニューロンの共存が明らかになり、メカニカルストレスの受容から神経ペプチドへのシグナル変換の過程が解明された。活性化T細胞では、細胞外マトリックス刺激をインテグリンで受容し、FAK-TKを介する細胞内シグナルに変換して共刺激分子の発現や細胞増殖が誘導されることから、インテグリンによるホメオサーベイランス機構の介在が示された。骨系細胞では、高脂肪によりp53を介してアポトーシスが誘導され、apoE遺伝子により抑制されることから、骨細胞が高脂肪に対するホメオサーベイランス機構を有することが示された。クロマチン会合プロテオーム解析では、酸化ストレスの防御システムとして重要なグルタチオン合成系とclockとATF4の転写制御系の連関を明らかにし、活性酸素に対する防御システムからクロマチンリモデリング、概日リズム制御への核内シグナル転換機構を示した。一方、表皮ランゲルハンス細胞では、角化細胞からの自然免疫系シグナルを受容することによりハプテン提示能が促進し、獲得免疫系へのシグナル転換が誘導されることが示された。以上、平成18年度には、デンドライトを起点とする生体内の外的、内的ストレスを細胞内の化学的シグナルへ変換することによるホメオサーベイランス機構を解明し、多様な系に存在するデンドライトを有する細胞の普遍性を明らかにした。
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Research Products
(21 results)