2009 Fiscal Year Annual Research Report
デンドライトを起点とするストレスに対するサーベイランスとシグナルネットワーク形成
Project/Area Number |
18209026
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 良哉 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (30248562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
河野 公俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (00153479)
戸倉 新樹 産業医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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Keywords | デンドライト / 樹状細胞 / 神経ペプチド / ランゲルハンス細胞 / 免疫系 / アポトーシス / 酸化ストレス / ホメオサーベイランス |
Research Abstract |
樹状細胞や神経、皮膚ランゲルハンス細胞、骨細胞などは、細胞表面に多数の樹状突起「デンドライト」を発現する。デンドライトはストレスセンターとして多様なストレスを受容し、化学的シグナルに変換して多様な生体防御反応過程をイニシエーションすることを明らかにしてきた。平成21年度は、免疫、骨、皮膚、神経、脂質等の代謝系に存在するデンドライトを有する細胞間に於いて、デンドライトのストレスセンサーとしての役割、デンドライトを介する分子レベルでのシグナル伝達系を明らかにするべく研究を行った。まず、ストレスセンターである視床下部に注目し、神経系への生理的役割を検討してきた。下垂体後葉ホルモン遺伝子に蛍光タンパク遺伝子を挿入した融合遺伝子導入ラットを世界で初めて作出し、下垂体後葉ホルモン系がストレス反応の中軸である視床下部-下垂体-副腎軸に関与することを解明した。また、後葉ホルモン系による疼痛ストレスの緩和、ストレス下の摂食調節を見出し、ストレス刺激時の脳内神経回路を解明した。また、MSHによる皮膚のデンドライトを有する細胞からのメラニン産生、αMSH・紫外線による免疫抑制を見出し、また、消化管のcholecystkinin受容体CCK2Rは、脳、皮膚にも存在し、かゆみを制御している知見を得た。即ち、皮膚のストレス刺激に対する反応は、神経-皮膚軸を介して指令統御を受けるとの予備的成績を得た。さらに、樹状細胞はデンドライトを介して多様なストレスを受容し、化学的シグナルに変換してドパミンを産生し、cAMPを介してTh1細胞分化、および、Th17細胞への分化を誘導して生体防御を強化する事を見出し、デンドライトを起点とする神経-免疫軸の存在を明らかにした。一方、酸化ストレスに対するDNA損傷シグナルを中心に、ストレスセンサーの分子機構を解明した。抗酸化ペプチドであるPRDX1と5は転写因子ETSとクロマチン蛋白HMGB1の会合を介して抗酸化システムを構成すること、DNA損傷シグナルを惹起する抗がん剤シスプラチンに対する耐性細胞では、概日リズム遺伝子Clockが高発現し、Tip60の発現を制御してDNA修復遺伝子ERCC1を調節することを見出し、ストレスに対する生命維持の分子機構を解明した。以上、平成21年度には、生体内には樹状細胞や神経、ランゲルハンス細胞、骨細胞など、細胞表面に多数の樹状突起「デンドライト」を発現する細胞が存在し、デンドライトを介して多様なストレスを受容し、化学的シグナルに変換して複雑な生体防御反応をイニシエーションすることを解明した。
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Research Products
(14 results)