2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18209031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北本 哲之 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20192560)
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Keywords | 遺伝子 / 感染症 / 神経化学 / 痴呆 / プリオン |
Research Abstract |
本年度は、この研究を始めるにあたって目標としてきた結果が得られた。プリオン感染の一つの性質であるトレースバック現象を証明したのである。元々は、vCJDプリオンの感染実験において、vCJDプリオンの遺伝子型であるヒト129Metのプリオン蛋白よりもウシ型のプリオン蛋白を持つノックインマウスに感染し易いことを証明しトレースバック現象として報告してきたが、硬膜移植後のCJDプリオンがヒト129Metの遺伝子型を持つにも関わらず、この129Metの遺伝子型よりもヒト129Valのノックインマウスに感染しやすい事を証明した。つまり、硬膜移植でアミロイド斑を有する症例は、もともと129ValのCJD患者の硬膜を129Metのレシピエントに投与された可能性が示唆されたのである。 さらに、このトレースバック現象を確かめるため、129Val/Valでタイプ2のプリオンを129Met/Metのノックインマウスに感染させ、感染が成立したマウスの脳内に多数のアミロイド斑が生じること、そして硬膜移植の症例と同じように異常プリオン蛋白の分子量がタイプ2よりも少し高くなることを証明した。加えて、この発病した129Met/Metノックインマウスの脳を用いて、129Val/Valのノックインマウスに感染実験を行ったところ、硬膜移植のアミロイド斑を有する感染実験と同様に容易に感染が成立することを証明した。これによって、我々が発見したトレースバック現象が、プリオン感染の原因を追及する方法として利用できることが明かとなった。アミノ酸の異なるプリオン感染が成立した場合、トレースバック現象が原因追及の方法となりうる。
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[Journal Article] Two different clinical phenotypes of Creutzfeldt-Jakob disease with a M232R substitution.2007
Author(s)
Shiga Y, Satoh K, Kitamoto T, Kanno S, Nakashima I, Sato S, Fujihara K, Takata H, Nobukuni K, Kuroda S, Takano H, Umeda Y, Konno H, Nagasato K, Satoh A, Matsuda Y, Hidaka M, Takahashi H, Sano Y, Kim K, Konishi T, Doh-Ura K, Sato T, Sasaki K, Nakamura Y, Yamada M,Mizusawa H,Itoyama Y.
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Journal Title
J Neurol. 254
Pages: 1509-1517
Peer Reviewed
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