2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18209036
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀧川 雅浩 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教授 (80115873)
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Keywords | 悪性黒色種 / 経皮免疫療法 / 臨床試験 / 細胞障害性T細胞 / ペプチド / ランゲルハンス細胞 / 角層剥離皮膚 / ワクチン |
Research Abstract |
我々の開発した腫瘍ペプチドを用いた経皮免疫療法(PPI)は、簡便で非侵襲的に抗腫瘍細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導する画期的な免疫治療である。これを用いてこれまで第III/IV病期の悪性黒色腫患者25名に対し、臨床試験を行った。被験者は、我々の保有する腫瘍ペプチドと特異的に結合するHLAハプロタイプ,すなわちHLA A0201またはA2402をもつ20歳以上の悪性黒色腫患者で、Europe cooperative oncology groupによるperformance statusが1以下、中枢神経または肝臓への転移を認めないものとした。PPI治療により多くのCTLが誘導された例は、腫瘍の縮小効果が顕著であった。第III病期であった78歳の女性例では、右下腿に多数の皮下結節を呈し、これがすべて悪性黒色腫の皮膚転移であったが、PPI療法施行後2回目より、これらの皮下結節はすべて消失していった。本患者の末梢血中のペプチド特異的CTLをテトラマーを用いてフロサイトメーター解析すると、200〜300個/10000CD8陽性細胞と多数認めた。また、PPI施行中に皮下結節を採取し、その浸潤T細胞を調べると、浸潤細胞の5%以上がペプチド特異的CTLであった。患者プロファイルの偏りはあるが、従来の本施設における第IV病期8名とその予後を単純に比較すると、PPI治療群の方に延命効果がみられた。また、PPI治療の回数が7回以上である場合と7回未満とで比較すると、有意に7回以上免疫した群に延命効果がみられた(Kaplan-Meier法,p<0.0001)。内臓/骨転移群は、リシパ節にのみ転移がとどまる患者よりも予後が悪かった(Kaplan-Meier法,p=0.0373)。これらの結果より、PPI治療は、第III/IV期の悪性黒色腫の近未来的治療のオプションと成りうる可能性を示唆させる。
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