2006 Fiscal Year Annual Research Report
循環器系人工組織のプレインプランテーションによる体内自己組織化
Project/Area Number |
18209042
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中谷 武嗣 国立循環器病センター(研究所), 臓器移植部, 部長 (60155752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 哲二 国立循環器病センター(研究所), 生体工学部, 部長 (50243126)
藤里 俊哉 国立循環器病センター(研究所), 再生医療部, 室長 (60270732)
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Keywords | スキャホールド / 脱細胞 / ポリ乳酸 / 組織移植 / 再生医工学 |
Research Abstract |
脱細胞心臓弁や血管、および、生体吸収性材料を用いた再生医療において、移植後の血管内皮細胞や平滑筋細胞、線維芽細胞の浸潤が報告されているが、埋入初期段階における免疫反応や異物反応など課題は多い。特に、循環器系材料の場合、内膜肥厚化による塞栓や、石灰化、あるいは血液漏洩などは、患者生命に直結する問題である。本研究では、これらの生体組織由来人工血管および合成材料製人工血管を「テンプレート」とし、生体にプレインプラント(前埋入)することで、in vivo自己組織化を促し、続いて適応部位に本移植するというストラテジーによって、確実かつ早期で、危険性の少ない再生型移植組織の開発を目的とした。 超高静水圧処理によって脱細胞スキャホールドを作製した。界面活性剤などによる処理とは異なり、処理後の硬化や、細胞毒性物質の残存が無い上に、HIV等のエンベロープを持つウイルスでさえも600MPaの処理でほぼ完全に不活化される安全な手法である。高圧処理後、組織内に残存した細胞残渣の除去方法として、これまでに、マイクロ波などによる高効率の洗浄を利用してきたが、組織移植後の若干の石灰化など、未だ微量残留物の影響の疑いもある。そこで、「プレインプランテーション法」により、生体内に備わる免疫応答を含む生体内環境による微量成分除去を試みた。一方、ポリ乳酸誘導体により作成した再生型人工血管の孔径と空孔率が、そのプレインプランテーション時の組織反応性と自己組織化に大きく影響を与える。本年度では、親水性表面を有するポリ乳酸誘導体による再生型人工血管をイヌ皮下に1週間埋入した後に、頸動脈へと移植する手法により、検討を重ねた。 いずれのシステムにおいても、予備検討範囲の例数ではあるが、その、高い再生型人工血管としての特性が見いだされ、来年度は、プレインプランテーション条件や、移植後の評価期間を詳細に検討する必要がある。
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Research Products
(14 results)