2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮におけるRAP-1の機能解析、および新規G蛋白質共役型受容体の検索
Project/Area Number |
18209045
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 富男 Kyushu University, 医学研究院, 教授 (10134561)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
庄野 禎久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00346793)
宮城 靖 九州大学, デジタルメディシン・イニシアティブ, 准教授 (10380403)
|
Keywords | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / G蛋白質共役型受容体 / PAR-1 / アルガトロバン |
Research Abstract |
1. ウサギくも膜下出血(SAH)モデル脳底動脈の長時間アゴニスト刺激における、張力、細胞質カルシウム濃度変化、ミオシン軽鎖リン酸化レベルの検討:ウサギ大槽内に自家血を注入したSAHモデルと、生食を注入した対照モデルを作成し、摘出脳底動脈を用いて張力・細胞質カルシウム濃度同時測定を行った。エンドセリン1、トロンビンおよびフェニレフリンによる収縮は、対照モデルでは徐々に減弱したが、SAHモデルでは長時間持続した。細胞質カルシウム濃度変化も張力と同様の時間経過を示した。また、アゴニスト刺激前、収縮ピーク時および刺激45分後におけるミオシン軽鎖リン酸化レベルを、phos-tagを用いたイムノブロッティングにより測定し、対照モデルとSAHモデルとで比較した。ミオシン軽鎖リン酸化反応も、張力、細胞内カルシウムと同様、対照モデルは時間経過とともに減弱し、SAHモデルでは持続した。これらの結果から、SAHでは収縮反応に対する抑制機序が障害されている可能性が示唆され、収縮抑制機序の障害はカルシウムシグナルより上流に存在することが証明された。 2. ウサギSAHモデル脳底動脈におけるアゴニスト受容体発現量の検討:エンドセリン1、トロンビンおよびフェニレフリンいずれのアゴニスト収縮も、SAHモデルでは対照モデルと比べ低濃度から反応が認められ、収縮反応性が亢進していることが確認された。対照モデルとSAHモデルとで、エンドセリン受容体(ETA受容体)、トロンビン受容体(PAR1)およびフェニレフリン受容体の発現量を、ウェスタンブロット法を用いて比較した。いずれの受容体の発現量も、SAHモデルで亢進していることが確認された。よって、これらのアゴニスト収縮反応性亢進には受容体発現亢進を伴うことが証明された。 3. ウサギSAHモデル脳底動脈の細胞内レベルにおける収縮亢進機序の検討:ウサギSAHモデル脳底動脈でのアゴニストによる持続収縮機序をさらに解明するために、ウサギ脳底動脈をα-toxinにより脱膜化し、細胞内カルシウムを固定した状態でGTPγS刺激を行い収縮を観察した。収縮の大きさは両モデル間で有意差がなかったが、対照モデルに比べSAHモデルでは収縮が持続した。SAHモデルでは、受容体の下流においても収縮抑制機序が障害されている可能性が示唆された。
|
Research Products
(9 results)