2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫の活性化を利用した新しい婦人科癌免疫療法の確立と臨床応用
Project/Area Number |
18209052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 賢二 Kyoto University, 医学研究科, 非常勤講師 (10221350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 講師 (80283597)
八木 治彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (70402857)
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 腫瘍免疫 / PD-1 / 制御性T細胞 / 免疫回避機構 / BMP / NK細胞 |
Research Abstract |
婦人科悪性腫瘍の多くは初期治療反応性は良いが、長期的予後は良くない。このため腫瘍免疫療法等の新しい治療法の開発が必要である。腫瘍は本来不可欠な自己寛容維持機構をうまく利用することで免疫系の攻撃から逃れていると考えられ、本研究で我々は、自己寛容維持のメカニズムを逆に利用して、これを一過性に抑制し、ある程度の自己免疫状態を惹起することによって強力な自己免疫を得るという新しい治療法を婦人科悪性腫瘍に対して導入することを目指している。今年度は、A)腫瘍の局所免疫は微小環境の影響を受けるが、その微小環境はcyclooxygenase (COX)などの腫瘍由来因子により修飾されると考えられる。今回、卵巣癌における免疫細胞の浸潤パターンとCOX発現および予後との相関を検討した。患者の同意を得て、卵巣癌70例の腫瘍上皮内および間質内のCD8、CD57、CD1a陽性細胞数を免疫染色により検討し、これを用いて階層的クラスター解析を行った。これにより分類された卵巣癌3クラスターと、腫瘍のCOX-1、COX-2発現(免疫染色)および患者の全生存期間と無病生存期間を比較検討した。その結果、上皮内CD8+T細胞数はCOX-1およびCOX-2発現と逆相関していた。3つのクラスターのうち、上皮および間質内の低CD8+細胞/高CD1a+細胞の集団(Cluster 1)は上皮および間質内の高CD8+/低CDla+細胞の集団(Cluster 2)に比し予後不良であった。上皮内の高CD57+細胞の集団(Cluster 3)は、中等度の予後を示した。クラスター分類は年齢、進行期、組織型、残存腫瘍等の臨床的病理学的所見との相関を示さず、多変量解析にてCluster 1は独立した予後不良因子であった。Cluster 1のCOX-1およびCOX-2発現はCluster 2よりも有意に高かった。つまり、腫瘍浸潤免疫細胞の階層的クラスター解析により、予後不良かつCOX高発現の卵巣癌を同定できた。卵巣癌細胞の発現するCOXが微小環境に影響し、免疫細胞の浸潤パターンを変える可能性が示唆された。 B) 一方、CD4+25+制御性T細胞に関する解析については、近年その誘導因子のひとつであるTGF-bとの関係について、腫瘍組織を用いて解析を進めている。
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Research Products
(3 results)