2008 Fiscal Year Annual Research Report
緊急使用および長期使用が可能な抗凝固療法不要の次世代型PCPS装置の実用化開発
Project/Area Number |
18209054
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
巽 英介 National Cardiovascular Center Research Institute, 人工臓器部, 部長 (00216996)
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Keywords | 経皮的心肺補助 / PCPS / ヘパリンコーティング / 抗凝固療法 / ECMO / 抗血栓性 / 血症漏出 / ガス交換 |
Research Abstract |
経皮的心肺補助(PCPS)は現在行い得る唯一の機械的心肺補助手段であり、近年救急医療領域を中心にとくにその有用性が高まりつつある。しかしながら、従来のシステムは緊急対応性に乏しく抗血栓性に乏しく、使用期間も数日程度に限られており臨床成績も良好とは言い難かった。本研究では、容易かつ迅速に適用可能でしかも長期間安全に使用できる次世代型PCPS装置の開発を目的とした。開発目標は、優れた移動性・携帯性を有し、長期耐久性に優れ、さらにヘパリン投与等の抗凝固療法が不要な画期的なものである。研究最終年度となる本年度は、小児への適用を考えたPCPS回路の開発・評価を中心に研究を推進した。試作回路の全充填液量は147ml(熱交換機使用時は177ml)極めて少量で、乳児症例での血液無充填施行も可能と考えられた。このシステムを用いた長期動物試験評価では、血液ポンプ駆動装置に動作異常を認めた1例を除いた全例で、装着時以外一剤抗凝固療法を行うことなく、5〜10週間(全て待機的終了)の連続灌流を達成した。また、小児でヘパリン固定回路を用いた際に問題となる灌流初期のヘパリン溶出について検討したところ、本システムでは全く問題とならないことが確認された。さらに、小児PCPSに適したディスポーザブル高耐久性遠心血液ポンプシステムの開発にも着手し、ポンプヘッド直径46mm、充填液量15mLで、駆動ユニットサイズはφ70×161mmの円筒形、重量約1kgの一次試作を完了した。性能評価では、5L/min×400mmHgを6.500rpmで達成し、1L/min以下の低流量でも良好な制御性を示した。
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